第3話 エピローグ


 2人でたくさんのおしゃべりをしながら、明日は一日何も食べなくても

いいんじゃないか、というくらい、満腹だった。


「お会計三万八千円でございます」

 「いいよ、私が払う」と、佳那が言う。


 「秀一さんの15回忌でしょ」

 「普通、13回忌だけど」

 「いいよ、私お金持ちだから」

 「わかった。ありがとう。今度私が高級寿司でも奢る」

 「楽しみにしてるわ」

 「ご馳走様でした」


 「ううん、お互いにこれからも頑張ろうね。別に美咲が私より先に結婚しても、全然怒らないから、いい人見つけるんだよ」

 「佳那なんか、まだ一回も結婚してないんだから、佳那の方が先だよ」

 「あはは、自分のことは全く棚に上げてたわ。じゃあ、またね」

 「うん、本当にありがとう」


 女の敵は女、って言葉は、絶対に最初は男が言ったのだと思う。


女には女にしかわからないことがあるし、男には男にしかわからないことがある。 

だから、夫はいても、女友達は大事だ。


ましてや、何でも話せて、気持ちを思いやることができて、お互いの幸せを心から喜べる友人に出会えたことを、何よりも感謝しよう。


 ホテルを出た東京駅丸の内北口広場には、正面から大きな夕陽が見えていた。 

明日からまた頑張れる。


佳那の颯爽とした後ろ姿を見ながら、美咲は黒のレザーバッグを右手から左手に持ち替えて、駅の改札へ向かった。


                         了

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メモリーオブハネムーン 浅香 凪 @Nagifreetraveller0707

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