第27話 八尺瓊勾玉の力

「ライ・クローネとユイ・アマミズ。これから話がある」


 4限目の後にある昼休みの時間の時に、先生に呼び止められた。

 何の話かな? と考えながら先生についていくと、そこは誰もいない体育館だった。


「君たちは模擬戦に勝ったから、ランクが上がります。が、普通はEに上がるはずですが、君たちは強すぎる。D1組に上がってもらうが、それでいいですか?」


「……え?」


 私、しっかり困惑。普通Eに上がるんでしょ??? 飛び級しちゃってるよ??? それ大丈夫なの???

 困惑、中横でライは、


「わーい! やったー!」


 と言っていた。いやいやいや! 「やったー!」じゃないのよ!?


「……一応大丈夫です」


 横のライの反応に困惑しながらしっかりこたえる。……そろそろこのカオスにもも慣れたい……。


「……分かりました」


 先生はライの反応に困惑しながら校長先生に話をしに行った。


「明日から1年D1組に行ってください」


 校長先生から許可が下りたそうなので、Dに上がることになった……。あとで知ったけど、飛び級は前代未聞らしい……。これを聞いたF1 組のみんなは、帰る寸前に「伝説を目の当たりにした!」とか、騒いでいた。


 翌日……。


「おはようございま……す?」


 私とライは、1年1D組に飛び級したので、1D組の部屋に入る。……もちろん私とライしかいなかった。

 そこには、フェニックスが宿っているような赤い髪をした先生がいた。


「おはようございます……あなた達、この学校初の記録を叩きだしましたよ! 1年が模擬戦開始から約10秒に峰内で終え、さらにもう片方は上級魔法ボルケーノを使って約5秒で終了! これは素晴らしい!」


 ……なかなか癖のある先生だなぁ。


 キーンコーンカーン……ドッカーン!


 爆発音が、1限目が始まったことを告げる。


「「よろしくお願いします」」


 1限目は何やるんだろう? ……走り込みかな? それともシャトルランだったり?


「とりあえず生徒が二人だけだけど、早速ダンジョン行きますぜー!」


 いきなりのダンジョン。私じゃなきゃ脳内が一時停止しちゃうね!


「わーい! ダンジョンだー! えっと……」


 ライが先生のどこに行くか尋ねようとしたが、まだ名前を聞いていない。それが分かったのか、


「レヴァルスだ」


 と、レヴァルス先生が答えた。……言いずらい!


「レヴェルス先生! どのダンジョンに行くんですか!」


「コンフプロヒューダンジョンだ」


 そんな名前のダンジョンあるんか! とりあえずいえることは、名前長くない? という事。っていうかライ! 「レヴェ」じゃなくて「レヴァ」!


「先生! あそこは上級者向けです!」


 ゑゑゑ? 上級者向け!? ライが反対するのも納……


「なので早く行きたいです!!」


 ……え? 聞き間違えかな?

 困惑している最中にレヴァルス先生が、


「おお! そうかそうか。 なら早く支度をして出発しよう!」


 と、サラッと言った。……聞き間違えじゃなかった……!


 10分後


 キュイーン……


「よし、ここがコンフプロヒューダンジョンだ。いろんなところに罠があるから気を付けろよー!」


 一見ボーテンドダンジョンと同じように見えるけど、入り口の看板に、しっかり「コンフプロヒューダンジョン」と、書かれていた。


 中に入ると赤黒いレンガで造られた部屋だった。部屋の大きさが、コーギー達と出会ったダンジョンと同じくらいの広さ(東京ドーム1/10くらい)だった。


「グルルルル……」


 あ! おっきい白モフモフ発見! 生きる雲第三弾! 瞳は、草が活き活きとしているような深緑。その瞳はこちらをにらみつけている。毛は所々薄緑の隈取っぽいのがあるくらいだ。なんかカプ〇ンの〇神に出てくるアマテラスみたい!


「フェ……フェンリルだと?」


 レヴァルス先生が驚く。フェンリルは一応知ってるけど、どんくらい狂暴なのか知らないから、いったん訪ねてみる。


「先生! フェンリルってどんくらい狂暴なんですか?」


「……ゴブリンの2,000倍と考えた方がいい」


 ……分かりそうで分からない例えだなぁ……。


「グルルルル……」


『おい、人間。なぜ水の神を連れている?』


 おっと? これは念話かな? ……それよりも、水の神??? 水……水……あっ! ラテン語で水は「aquaアプア」! つまりこれに当てはまるのは、マギライアのことだ! ……今は仮名使ってるけど……


『あのネタ走りの神が、仮名を使ってる?』


 やっぱそうネタ走り認識されてるんかーい!


『人を気にいるとは珍しい。……我も同行しよう』


 おっと? これはテイムする流れかな? 


 テイム!


 異世界系あるある。フェンリルが登場して、さらに大半は主人公になついてる。


『何だと? 説め……』


 気にしなくてよし!


 フェンリルと念話していると、レヴァルス先生が


「お! フェンリルをテイムしたのか! いいぞその調子だ!」


 と言ってきた。……非常識に関しては「素晴らしい」と、とらえてるんだね……。


 下の階に行くと、なんか真っ黒で変な鳥が私たちのことをにらみつけてた。


「あれh……」


「マニフォロー。攻撃に当たったら操られる時があるから気を付けて」


 私が訪ねる前に、ライが即答する。モンスターのこと聞くのを予想して言ってくれてのかな?

 えーと? マニフォローって洗脳してくるんだっけ? それを気を付ければいい感じかな?


「由衣! 危ない!」


 ? どういう……


 ギュイイン……


「? 何が起きた?」


 何かに防がれた感覚が、私の頭の中で響く。


「え? 大丈夫なの?」


 ライが、サカバンバスピス顔で心配してくる。


「あ、もしかして今のが洗脳攻撃? なんか平気だよ?」


 なんかよくわかんないけどとりあえず、ライと話しながらマニフォローの頭をちょん切る。

 なんで洗脳されなかったんだろう? まぐれかな?


『主、身に着けている勾玉を我に見せてみろ』


 フェンリルが何か築いたようで私に念話を飛ばしてくる。? はいどうぞ

 フェンリルに勾玉を渡す。まじまじと見た後、呆れた顔で言われる。


『主……この勾玉は身に着けている者をありとあらゆる状態異常デバフから身を守る効果があるものだ。……なぜ故気づかなかったのだ?』


 おっと? まさかそんな効果があるとは思わなかった。っていうか今まで状態異常にかかるようなところに行ってなかったから気づけなかった。

 ってことは、もうこのダンジョン勝ったも同然なんじゃ無ないかな?


『あまり油断せぬようにな』


 はーい!


八尺瓊勾玉やさかにのまがたまに異常状態を防ぐ効果があるらしいよ!」


 しっかりライたちにも伝える。ライは「ニパァ」って顔になった。なぜにニパァ?


「なるほど、その……マガタマのおかげか」


 おっとこれは八尺瓊勾玉を知らないパターン?


「因みに八尺瓊勾玉は、天照大御神を天岩戸から出すときに祭りをしたんですけど、その際に飾られていた勾玉です」


「「……」」


 え? なんでそんな冷ややかな目で見てくるの!? なんで??

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