第25話 歩く非常識

 私とライは隠し通路だったところをずっと眺めていた。先生は青ざめた顔になっている。


「嘘だあぁ! 出してくれ!」


「死にたくない!」


「私たちもっと生きたい!」


「ああああぁぁぁぁぁもうおしまいだあぁぁぁぁ」


 と、周りの生徒はパニックになった。……ただ一人を除いて。


「困りましたわね……」


 そう。レイアさんは冷静に状況を整理している……が、


「「これ私たちで攻略できんじゃね?」」


 ……うん。私たちのステータスは非常識。私はステータスがすべて500超えてるし、マギライアという名の(今仮名使っているけど)神様がいる。


「先生! 私たち攻略していいですかー?」


「なっ、あb……確かに君たちならいけるな……」


 先生は最初焦った顔になったが、いったん落ち着いて私たち二人なら大丈夫だと判断した。そしてそれと同時に考えるのをやめた顔になった。


「……あなた達、本気なのかしら?」


 レイアさんが大丈夫かどうか疑ってくる。


「普通に大丈夫。ゴーレムほぼワンパンだったし……」


「もし危なくなったら、ゴーレムの足元に空洞作ってチクチク攻撃すれば倒せるだろうし……」


「……そうだったわね……まぁ、私もついていってお手並み拝見とさせてもらうわ」


「「え? ついてくるの?」」


「少し遠くから見るだけよ!?」


 ……いい漫才感があるなぁ。

 周りの人はこの漫才を見て落ち着いた……。なぁぜなぁぜ?


「それじゃあサクっと倒しますか」


 私はライに目配せをする。大丈夫だと返事が来る。


 ギイィィィー……


「グオォォォォォー」


 これがダルヤモンドゴーレム。……なんか普通に動くダイヤモンドじゃん。

 とりあえず、近くにあった瓦礫をゴーレムに投げる。しっかり命中。でもダルヤモンドゴーレムは痛がっている様子がない。


「魔法撃つからよけてー」


 ライがボルケーノを撃つ。おっ? 結構効いてる感じだな。これもしかして炎には耐性がない感じ? だったら……


「キエェェェーン!」


 私は不死鳥に見立てた弾幕を展開する。……っていうか鳴き声付きかいな!

 そう心の中でツッコミを入れている間にも弾幕がダルヤモンドゴーレムに当たる。??? 左足と右足が溶けた! っていうかこれ溶岩じゃないよ!?

 まあ、ツッコミ入れてばっかりじゃあ仕方ないので、私はライにダルヤモンドゴーレムを冷やして触っても大丈夫なようにしてという。いった瞬間吹雪を発生させて冷やした。便利だなー! あとでその雪で遊ばせてー!

 もう触っても大丈夫なので、私は八咫鏡を使う。MPを流し込むと、鏡から光が発生してダルヤモンドゴーレムの目をくらましている。その間に私はまっすぐ突っ込んでタックルを入れた。


「ゴオォォォ……」


 ん? え? 嘘だよね?

 私の入れたタックルは、ダルヤモンドゴーレムを粉々にして倒した。……どんだけ~!


「ユイ……あなたSTRいくつよ……」


 レイアさんが呆れ気味に聞いてくる。


「えーととりあえず100以上だと思って」


「100以上!?」


 ……と、とりあえず扉を開いて先生に倒したことを報告する。


「やはり君たちはとんでもないことを成し遂げるね……」


 その言葉にライが、


「いやーそれほどでも」


 という。なのでここはしっかり突っ込む


「いやほめてるんじゃないよ~!」


「? ほめ言葉じゃないの?」


 ……待ってこれ天然?


「天然の話はひとまず置いといて、早く脱出しましょう! もしかしたらまたダルヤモンドゴーレムが出現しちゃうかもしれませんよ」


「え? ダルヤモンドゴーレム倒したの?」


「本当かそれ?」


 と、周りの人は困惑気味に話しかけてくる。

 部屋に入ってダルヤモンドゴーレムの残骸を見ると本当だとわかり、みんな大喜びした。中には安心して泣き出しちゃう子もいた。


 ダルヤモンドゴーレムの残骸はとても固い装備が作れるらしいので、持って帰る。


 素早く一列に並んで感圧板を踏み、外に出る。


「皆さん! 転移キーを使って下さい! 先生は急いで校長先生に報告します!」


 キュイーン


 学校に戻ると、もう2限目はとっくに終わって3限目だった。みんなは下駄箱に急ぎ、自分の席に着くと、糸が切れたように寝ちゃう子や、コーギーの群れに突っ込む子。などなど先生が来るまで自由に過ごしていた。

 そして、裏ボスへの隠し通路が見つかったということで、大騒ぎになった。あとあの先生は説教を受けたらしい……ほぼほぼ私のせいな気がするんだけどなぁ。


「おい! 模擬戦から逃げるんじゃねえよ!」


 あ、こいつのこと忘れてた……。確か4限目の後にやるらしい


「ああ、それのことなんだけど、4限目の後にやるんだって」


「あ、ああ、知ってたし……」


 これ絶対嘘だ……。


「そういえばテイムしたモンスター連れてくるのもあり?」


「ありだぞ! お前なんかが捕まえたモンスターに負けるわけないからな!」


 教えてくれるのはありがたいんだけど……こいつ……後のこと考えてなさすぎだろ……。

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