第24話 隠し通路にはお気を付けくださいませ

 二限目……


「それじゃあ転移キーに魔力MPを流し込んでください」


 みんなが一斉に転移キーに魔力を流し込む。


 キュイーン……


 転移が終わると、大半の人が初めて来たダンジョンのようで、はしゃいでいた。階段を下りながら先生が言う。


「これから1層目に入ります。流れを説明すると、一人一匹ずつ倒して、最終的に最深部まで行き、5人グループで1チームずつボスを倒してもらいます。それではグループ分けスタートです」


 えー……グループに分かれるとき私は必ず残るんだよなぁ……。とりあえずライと私は確定でしょ……

 チラッとレイアさんの方を向く。


「レティシア様! 僕と組んでくれますか?」


「私と組んでください!」


 ……モテモテだな(?)

 次の瞬間、レイアさんが発した言葉で私たちからすればとんでもないことになる。


「皆様、わたくしライ様とユイ様のグループに入ることを決めています」


 ……はぇ?


「じゃあ私たちも入ります!」


「僕たちもー」


 と、私たちの方に人がどっと流れてきた。レイアさんの方を見ると、ハンカチを取り出して汗を拭いていた。こんにゃろー!


「じゃああなたとあなた!」


 適当に男子と女子を1人ずつ選ぶ。ほかの人はがっかりして、選ばれた2人は、喜びの舞をしている。


 ほかの人たちのグループが決まると、いったん出席番号順になり、先頭の人から順番に一匹ずつゴブリンを倒す。剣で倒す人もいれば、魔法で倒す人もいたけど、みんな5分くらいかかった。

 しばらくして私の番になった。


「あいつ3分で終わるんじゃないか?」


「いやいやDEX7にはそんな早く終わらないでしょ」


 ……マギア


 一斉にいろんな色の弾幕が展開されて、ゴブリン達の方に向かう……ん? 「達」?


「ブギャグルアァァ……!」


 ……え? 方向制御できないの?

 ぽかんとした顔で後ろを振り向く。みんな思考が一時停止していた。


「あの……全部倒しちゃいました……・ごめんなさい」


「いや……誰にも失敗はあるから大丈夫だよ」


 先生が慰めてくれる(?)


「ええー!?」


「何あの魔法!? 見たことない!」


 などとみんなが一斉に話してくる。


「……とりあえず次の層に行きましょう」


 なんか話をそらさないといけない気がしたので、話を逸らす。


「「「「「……」」」」」


 あの後しっかりライも私と同じことやってた……。


 1時間後……

 再び私の出番。今度は一匹だけ倒すように刀を出す。


「見ろ! 剣が出現したぞ!?」


 と周りの人が言い始めたので、私はこの刀を説明する。


「これ『三日月宗近』という刀で、けんではありません」


 みんな「ぽかん……」っとなる


「『カタナ』ってなんだ?」


「なんでしょうね……知りません」


 などと後ろの人たちが話している間に、私は一気にゴブリンとの距離を詰める。

 そしてくびちょんぱ。……ここまではよかった!

 ここの部屋の広さって教室一個分くらいしかない。そして私は東京ドーム1/10の広さに慣れすぎている。そして、その感覚で戦っているから全速力で爆走中……つまり、壁に激突する!


 シーン


 やっちまったー! めっちゃ……痛くない

 私は今自分のいるところを確認する。目の前には一直線に通路があった。……これって……

 いったん通路を抜けてみる。梯子があったので下りた。……行き止まり? いやもしかして……

 私は壁に手を当てようとする。するとそこには何もないようにすり抜けた。

 顔を出してどこなのか確認する……ってここは!!

 私が顔を出した先に最深部の扉があった。うそでしょ!?

 急いで戻り、先生に報告する。


「いたぞ! どこに行っていたんだ!」


「隠し通路見つけました! ここをすり抜けてまっすぐ行くと、最深部につきます!」


「何? 最深部への隠し通路? ルート変更! みんなでこっちの隠し通路を通ります!」


 みんなが「隠し通路!!!」って顔をする。よっぽど通ってみたいんだな……。


 そして、最深部の前につく。みんなが自分たちのグループに分かれると、


「よし、まずこのグループから行ってくれ」


 と、先生がいう。そのグループから順番に部屋の中に入る。


 数分後……


「先生! あの敵は無理です! 今の僕たちがいくら強力なのを撃ったとしても何も通じません!!!」


「? どういうことですか?」


「ダルヤモンドゴーレムは無理です」


 ??? そんな敵じゃなかったよ? ……いや、待って! こんな感じに隠し通路がある方がおかしんだ! 普通あんなショートカットするだけに隠す通路があったら重要は全然ない!


「先生! ごめんなさい! もしかしたら、裏ボスの部屋に来てしまったかもしれません!」


 急いで謝る。そしてしっかり5人グループの人たちに「付与、治癒再生」をかける。


「やはりか……引き返そう」


 ゴッチン


「「「「「「「え……?」」」」」」」


 なんで……なんで通れないの……? 

 隠し通路があったところはただの壁と化していた。

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