第23話 こっそりカミングアウト

 翌日……


「ねえ! 君この部活入らない?」


「いやこの部活に入って!」


 廊下で色んな人に囲まれながら部活に誘われまくってます。でも……


「「ごめんなさい。ダンジョン攻略部入るってもう決めているんです!」」


 と同時に言って断っている。

 なぜダンジョン部かって言うと、「ダンジョン部に入ったらたくさん難しいダンジョンに挑戦できるかも」っと、いう単純な理由だった。なんか普通に簡単すぎるダンジョンだと、イージーすぎて逆に楽しくないのだ。


「すみませーん! ダンジョン部に入部希望なんですがー」


「……ゑ?」


 ダンジョン部の部屋にいた黒髪のショートヘアの少女が驚いた。


「えっ……ライ・クローネさんとユイ・アマミズさん!?」


「「はいそうですが?」」


「ええー!!!」


 明らかに驚いてる。そしてまた私の足元にいるコーギー軍団を見て


「ええええ!?」


 と驚いた。


「とりあえず落ち着きましょう」


 落ち着くことを促す。それでも落ち着かなかったので、コーギー達にお団子状態にしてもらって無理やり落ち着かせる


「……そうでした……」


女の人が正気になっている間に入部届を出す。


「……ほんとうにいいんですね」


 間違えていないか再確認してくる。


「「え? だって二人で決めたから」」


 と、ライと同時にこたえる。昨日の夜、どの部活に入るか話し合って決めたのだから。


「またシンクロしてる……」


 まだ朝なのに黒髪の人は疲れ切った顔をして、声を絞り出す


「……部活活動は明後日からなので、よろしくお願いします……」


「分かりました!」


「了解!」


 なんかもう様子からして声を出せそうにないので、教室に戻る。最中に、


「こいつ、DEXが7しかねえんだってwww」

 

 と、子分らしき人を3人連れたやつが突っかかってきた。こんな感じの男子。たまにいるよねー。服装からして貴族だな。


「のろまだなーw」


「そうだなーw」


「こんなよわっちいやつに負けないぞ。そうだ! 俺様はお前に模擬戦を申し込む。だからお前がそれにこたえる。それで俺が勝つ。それでいいだろ。あ、お前なんかに主導権はないから」


 と、いじわるそうに言ってきた。が、


「あ、全然いいですよ」


 としっかりこたえられる。その4人組の後ろに、1年F1組の男の子がいた。


「何やっているんだよあいつ……あんな化け物に模擬戦を申し出るんだなんて……最悪死ぬぞ……なんでわからないんだよぉ……」


 と、うっすら聞こえた。大丈夫しっかり手加減はするから。


 私は担任の先生に模擬戦を申し込まれてそれに対応することを話した。


「2日目で模擬戦だと? ……まあ少し準備するから待っていてくれ。2限目おわりにやろう」


「了解しましたー!」


 キーンコーンカーン……ドッカーン


 おいなんか今爆発したぞ!? 大丈夫か!?


 1限目開始


「それじゃあまずグラウンド10周だ」


 ぐらうんどじゅっしゅう。


「先生! 質問ですが一周何メートルですかー?」


「ああ、一周1,000mですよ」


 いちまんめーとるはしる。わかりましたー。(※ただいまIQを疑似的に下げています)


「それじゃあ行くぞー。よーい……」


 ピーー!


 私とライは「雑談しながら走ろう」となったので、横並びになりなりながら小走りにグラウンドを回る。


「そういえば、あの男子との模擬戦いつから始めるの?」


 ライが訪ねてくる。


「2限目の終わりくらいからだってー。フルボッコにしてやるわー」


「おおーwがんばれー」


 などとちょっと話していると、


「ライ・クローネ! ユイ・アマミズ! 止まってくれー」


 ? なぜか先生に止められた。


「グラウンド何周するつもりですかー! もう20周以上しているんですよ!?」


「「え?」」


 雑談に夢中になっていたから気づかなかった……先生が疲れた顔になって、


「もういったん中に入って待っててください……DEX7なのにどこにそんな素早さがあるですか?」


 と、言う。ここで今度ステータス100越えの人が来ても鑑定で、しっかり正しい結果が出るようになっていてほしいので、


「あ、先生にだけ一旦ばらしちゃいますけど、あれただ単に100の位が表示されていないだけですよ?」


 と、COカミングアウトする。


「……? 聞き間違いか? もう一度言ってくれ」


 先生が宇宙猫の顔になって聞いてくる。もちろん容赦なく言う。


「100の位が表示されていないだけです」


「なっ……まさか!」


「そうです! 私のステータスすべて100超えてるんですよ。あ、ほかの人たちには秘密でお願いします」


 先生が虚無顔になる。

 みんながグラウンドを十周する間。私とライは、雑談して待つ。

 

40分後……


 終わったみたいなので、先生のところに視点を戻す。みんなぜーはー息切れしていたり、ぶっ倒れてしまったり保健室に運ばれていったりしている。……待って! 最後のやばいって!


「あなた達……はー……どこに……はー……あんな速さがあるの……はー……?」


 レイアさんが訪ねてくるので、ライと息をそろえて同じことを言う。


「「もちろんステータスにあるよ」」


「ライのステータスは文字化けしてて分からなかったのよ! そしてユイの場合は07……まさかとは思うけど、ステータス107なの!?」


 レイアさんの勘が鋭い。小さな声で


「そこに関してはノーコメントで」


 と、いう。表情をうかがうと、考えるのをやめた顔になっていた。


「なぜ? ふつうは最高で50よ?」


 と、聞いてきたのでもうライに話を回す。


「そこに関しては私の隣にいる人私のステータスを決めた人に聞いて」


「??????」


「え? な、ななな、なんでわわ私」


 そういうとさらに怪しまれるぞー


 キーンコーンカーン……カキーン


 なんでやねん! なんでそこは野球ボールがバットに当たった音なのよ!?


「一限目終了です。しっかり水分補給してください。次はボーテンドダンジョンに行きますからね」


 お? ボーテンドダンジョン! やったー!


「「久しぶりのボーテンドダンジョンだー!」」


「久しぶり」という言葉に反応して、レイアさんが私たちに尋ねる。


「ボーテンドダンジョンに入ったことがあるのかしら?」


 それに関してこう答える。


「2・3回くらいありますね」


 ライが、ここで私が言うと思わなかったことを言う。


「最深部にいるゴーレム倒したよー」


「っ……思わぬところで情報を得ましたわ……」


 レイアさんは苦い顔になった。……なんかごめんなさい……?

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