第22話 しっかり表示されてないwww

 ぞろぞろと、一年F1組の出席番号順に始まる。私は12番目か……。


「エルディア・アクルズ!」


 その人のステータスがバッと、表示される。


「うむ。素晴らしいステータスだもう戻ってよい。次、アルフェス・ルグラヴ」


 7分後……


「ユイ・アマミズ!」


 私の番。自分のステータスは知っているので、何もびっくりすることはないだろう。……だが次の瞬間、その予想が外れた。


 STR 61 CON 20  SIZ 23 

 DEX 07 HP 550  MP 594


 ……はぁ!? え? まって!? どういう事!? 私のステータスこんなに低くないよ⁉

 自分でステータス観覧する。


 STR 961 CON 620  SIZ 23 

DEX 807 HP 1550  MP 1594


 スキル すべてを見通す目オーミスペルビディオクース 創造クリエイト 消滅デリート 未来予知フードラプライディーショレン 自分だけの時間ジャストミータイム

 ステータス観覧 隠密 テイム 飛行 付与・治癒再生 形勢逆転 転移 マギア

現世異世界ネット最高

 ????? えぇ(困惑) 100の単位と、1,000の単位が表示されてないんだけど……。

 私が完全にサカバンバスピス顔になっていると、


「なんと! STRが50越えだと!?」


「HPが550!? CONと釣り合っていないわ!?」


創造クリエイト 消滅デリートってなんだ!? 見たことないスキルがたくさんあるぞ!!」


 と、現場が混乱した。どちらにせよ、状況は混乱する未来だったようです……。


「とりあえず天井を眺めて落ち着いてください!」


 と、私が叫ぶ。周りが混乱していたら、もう何もできなくなるから。


「そうだったな……混乱したら何事も始まんない」


 と、みんな落ち着いた。


「……では教室に戻ります……」


 ステージを下りる。と、同時にたくさんの声が聞こえた。


「あいつのステータス見たか!?」


「うん! 見た見た! すごかったわ!」


「ってか、DEXのところ見たか?」


「STRに目が行ってみてなかった……」


「07だったぞ? 07って表示は初めてなんじゃないか?」


「07は単に7なんじゃないかしら?」


「じゃああいつ遅いな」


「スキルは強いんじゃないか? たくさんあったぞ」


 ……しっかり表示されなかっただけなんだよなぁ


 後ろの方でライの順番を待つ。


「次……ライ・クローネ」


 そういえば、私も何気にライのステータスミルの初めてだったな。どんな感じなんだろ。∞だったりして……。


 STR 狂tkgh類E CON 紡s阿sンbkづgA  SIZ 23

DEX 壊府フg怖  HP アt須skスjyd橙  MP r本rh


 スキル ????Kスぢうgy津



「えhごいないうぎぃ‘PU!」


 びっくりしすぎて私の口から変な声が出る。いや、まさかの文字化けパターンか!

 そんな全然回らなかった口を手で押さえながら先生の人たちの様子を見る。……まあ、誰でも私の立場だったら理解するな。


「なんだ!? 装置の故障か!?」


「いや、正常だぞ!?」


「読み取れていない……だと……?」


 ライの顔を見る。「てへ☆」って顔だった。思わずまた噴き出した。


「ブフォw……」


 私はもうライが神様だってわかっているからいいけど、周りはそう知らないから、みんなサカバンバスピスの顔になっている。


「なんか化け文字になってて草w」


 と、ライが言う。いや大草原だよwww。

 あわあわしている先生達(校長先生を除く)に向かってライは躊躇いもなく、


「あのー。戻っていいですかー?」


 そう笑顔でいう。


「も、戻っていいぞ……」


 予想不可能な結果で混乱して疲れ切った先生の声がライに今でも消えてしまいそうな声でしっかり返答をする。先生方……お疲れ様です……。


「あ、じゃあ失礼しまーす!」


 ライは今にも鼻歌を歌いそうな様子でステータス測定をする装置から降りて姿を上級生の人たちの壁へと姿をくらました。

 そんなこんなで一応正常心を保っている上級生達のこんな会話が聞こえる。


「またおかしい奴がいたぞ……」


「今年は厄年やくどしか?」


「なんかカオスな予感がするぞ……」


 と聞いていると、


「由衣ー! 見ててどうだったー?」


 と、ライが笑いながらこっちに向かってきた。


「ステータス測定の装置でも、やっぱ神には構わないんだね」


 と答えると、しっかりライも大笑い。


「www」


 教室に戻ると、みんながこちらを見てきた。お約束といっても過言ではない話し声が、私たちがいかに非常識か改めて思い出させてくれた。


「あのユイさんがSTR50超えている人なんだ!」


「ライさんに関しては文字化けしていたらしいよ!」


「「「ゑゑゑ!? うそでしょ!?」」」


「いやほんとだよ! みたもん」


 なんか今、シンクロしている人たちがいたな……。


「ワン!」


 教室の端に、コーギー達がきらきら笑顔でこっちを見つめてくる。撫でられるのを待っているようだった。カワイイね~♪


「待ってて偉いね!」


 コーギー達をなでる。女の子のみんなが「撫でたい……」っという顔になる。


「撫でますかー?」

 と、そんな私の問いに女子の人たちがサカバンバスピスのような驚きとコーギーのきらきら笑顔のような可愛らしい反応をこちらに見せてきた。



「「「いいんですか?」」」


 やっぱね! かわいいものには勝てないんですよ! いや、勝てるはずがない! 

  そして、私は教室全体に聞こえるような声でこう答える。


「撫でてあげてください! この子たちみんな喜びますよ!」


 その瞬間、50m競争が始まったかのように一斉に女の子の波が来る。コーギー達大喜び。


「キュウゥー……」


 ウォーギーが私の腕に収まってクリっとした目を私の瞳に映りこませる。なぜか私とライ以外の人には甘えないんだなぁ……。


 5分後……


「なんなんですの!? あなた達。あのステータスは!?」


 その声と同時にレイアさんが、混乱しきったような顔でこっちに来る。


「「あ、レイアさんこんにちは!」」


「『こんにちは!』 ではないですわ!!」


 なんだかんだ話を逸らし、温泉を宣伝すると普通に仲良くなった。これでレイアさんがツッコミ役だね!


「お二人はセントウを経営しているのですね」


「うん。まだ来る人は少ないけど、みんな常連さんだよ」


 などと話していると、先生が虚無った顔で戻ってきた。

 その後は、ずっと先生が上の空だった。まあ、そうだよね! あのステータス見たらだれでもこうなるもんね!


「……これで今日の学校の時間は終わりです。さようなら」


「「「さようなら」」」


 校門まで行く最中にしっかり視線が刺さりまくりました。

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