第19話 勢いで決まる入学
あのギルド騒ぎ翌日……
私とライは、依頼を受けるのとついでに、パーティーを組みに冒険者ギルドに来ていた。
「あ、ユイ・アマミズさんだ!」
「え? ユイ・アマミズさんって誰?」
「知らないのか!? あのボルーナヴェルベドンを倒して、つい先日あった偽装事件も見破って解決した人だぞ!?」
「え? あんなまだ幼いのに?」
「そうよ! だからギルド長が気に入っている人の一人なんじゃないかと言われているわ!」
「あのギルド長に気に入られるって、実力は相当らしいな」
「じゃあ隣にいる子は?」
「『ライ・クローネ』という人で、ユイさんと一緒にとてもいい連携で、ボルーナヴェルベドンを倒したんだ。ちなみに、まだパーティーを組んでいなかったらしいぞ」
「パーティー組んでいないのにどうやって意思疎通したのかな……」
「『念話』使ったんじゃないか?」
「だとしたら冗談じゃないわよ? 『念話』は取得するのに50年かかるといわれているのよ?」
「そこがありそうでなさそうな線なんだ。あの二人に戦った人はあまりいないけど、それでも相当強いことがわかるくらいだからな」
……恐れられているのか慕われているのか微妙にわからない
ライもこれが聞こえているようで。
「有名人になっちゃったねー」
と、言った。 ……いや、チートスキル使っただけなんですけど。
「でも有名になりすぎると、逆に突っかかってくる人がいるからなー」
「……有名で思い出したんだけど、『冒険者学校』って知ってる?」
「何それ?」
「簡単に言うと、冒険者になりたい人が行く学校なんだけど、通うには大金が必要だから大半の人が行かないんだよ」
「それはもう学校じゃない気がする」
「で、行く? 一応学校の時間は限られているから、温泉経営しながらできるけど」
「なんか面白そうだから行く。因みに大金ってどんくらい?」
「一人金貨20枚。だから私たちの分は金貨40枚」
「うーん……いくか」
「よっしゃー! じゃあ申請しに行こう!」
「申請の仕方って?」
「冒険者ギルドに行ってお金を払う。そうするとカギがもらえるから、そのカギに
「なるほど理解」
そういえば授業とかの内容って何だろう
「授業とかの内容って?」
「それに関しては、いっぱいあるよ! ダンジョン攻略競争とか、テイムモンスター競争とか、あとは……普通に読み書きもあるね」
「えー! 読み書き系に関しては無理」
「はは! 冗談冗談! ダンジョン攻略とテイムモンスター競争はあるけど、読み書きはないから安心して!」
「……それ聞いていると単に体動かしているだけなんだよなぁ」
「ハハハw」
などと話していると、冒険者ギルドについた。
「すみませーん! ギルド長いませんかー?」
「あんたたちが来ると思って待機していたところだ」
声がした方向を見ると、ギルド長が柱に寄りかかってこちらを見ていた。
「エスパーか何かですか?」
「まあ、そんなことは置いといて。私たち、冒険者学校に入りたいんです!」
「……言うと思っていてた。金貨40枚はあるか?」
「はい。あります」
しっかりギルド長に渡す。四十枚だと確認したギルド長は、さっと懐からカギを出して私たちに渡してきた。
「これが『転移キー』だ。4月3日の10時くらいになったらこれを使って転移しろ。ちょうどその時間が入学式だ。さて、私にはあんたたちの入学手続きをやる義務があるから、これで失礼する」
「「ありがとうございました!」」
ギルド長の姿が見えなくなると同時に、緊張してくる。
「今日は3月23日。それまで待つしかないのか……いったん暇だしパーティー組んで1ダンジョン行く?」
と、ライに尋ねる。
「行く行く! この間にステータスアップの本とか集めちゃおう!」
「え? これ以上強くなると収集つかなくなるよ?」
「大丈夫大丈夫!」
「それ大丈夫じゃないフラグー!」
今日も漫才&カオスです。
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