第16話 無駄に目立つとこうなる
「とりあえず、このダンジョンのことをギルド長に報告しに行きます」
イアさんはそして立ち去ろうとしている。だけど、DEXは間違いなく私の方が早いので、
「あ、じゃあ私が行きます」
そう。私が行った方が早い。
「しっかりお願いします!」
「はーい」
そう言いながら私は走りだす。
後ろを振り返ると、コーギーたちが足をどたばた動かしながらついてきた。
「ワン?」「ワン!」「ワーン」「ワン!」
「ニャー」「ワン!」「ワン!」「ワン!」「ワン!」
「ワン!」 「ワン!」「クァン」「ワン!」「ワン!」「ワン!」
「キャァ」「ワン」「ワン」「ワーン!」「ワン!」
「ニャー」「ワン!」「ワン」「ワン!」「ワン」「ワーン!」「ワン!」
「ニャー」「ワン!」「ワン」「ワン!」「ワン」
「ワン」 「ワン!」「キャン!」「ワン」「ワン!」「ワン!」
「キャァ」「ワン!」「ワン!」
「ワン!」 「ワン!」「クゥン」「ワン!」「ワン!」「ワン!」
……可愛すぎるだろーがー!
50分後……
「そ、そこの集団! 止まれー!」
兵士はこっちを見るなり悲鳴を上げて早口で言った。
「あ、はい」
ピタッ……。
「……そのモンスターはどうしたんだ……?」
後ろを見る。コーギー17匹にゴールデンレトリバー1匹。さらにゲーニウォック一匹ルーちゃん(メインクーン)……えーずーらーがーすーごーいー。
「テイムしました」
「……冒険者カードはあるか?」
「はい! (ギルド長に報告しに行くんだけどなあ)」
兵士さんにしっかり見せる。
「……確認した。通るがよい」
中へ入る。勿論みんなついてくる。
歩いていると、周りが急に静かになり、さらに変な目で見られた。耳がいいので、ちょくちょく話の内容が聞き取れた。
「いまたくさんのモンスターを連れ歩いている少女、あの『ボルーナヴェルベドン』をもう一人の少女と一緒に、傷一つなく倒したらしいぞ」
「えー、あの小さな体でー? 怖ーい」
「おいおい、嘘の情報だろ?」
「いや、目撃者三人以上いるぞ」
「まじか……」
ああ、あのクズ集団の話か。
「ママー、あのモンスターかわいいー」
「近づいたらだめよ。噛まれちゃうわ」
「えー噛まれるのー?」
……うちの子は噛まないよーって言おうか迷ったけど、聞かれてるって気づかれると、なんだか気まずいのでやめる……。そういえばコーギー達しっかりついてきてる?
11、12、13……19!?
「うそ!? 一匹足りない!」
まずい、声出た。とりあえず周りを見渡す。
「ヘッヘッヘッヘ」
いた! ってか舌出してる。 ……さっきの「あのモンスターかわいいー」って言ってた子におなかを見せて撫でてアピールしてる……と、いうよりも落ちてる。
「あ、ごめんなさい!」
「ううん。 お姉ちゃん大丈夫だよ! この子たち噛まない?」
「噛まないよー。追いかけてくることはあるけど、噛まないよー」
「なでていい?」
「うん、いいよー。撫でるときはこうしてあげてねー」
犬をなでるときのコツ。それは身長差がある時、しっかりしゃがむ。そしてグーの手にして犬ににおいをかがせる。嗅がせる前に触ると、おびえちゃったり吠えちゃう子がいる。あと、ての平で撫でるんじゃなくて、手の甲で撫でた方が触れる面積が少ないから安心するらしい。まあ、この子たちは人懐っこいのでしなくていいと思うけど……。
「なでなで~♪」
「~~♪」
周りがまた、しん……と静まる。
「あいつ、あのモンスターに噛まれるんじゃないか?」
「人は表裏あるからねー」
「……」
思わず黙ってしまう。っとそろそろ冒険者ギルドに行かないと!
「ごめんねー。わたしそろそろ冒険者ギルドに行かないといけないの。だからそのかわいいモンスターとはいったんお別れだよ」
「ええー……うん、分かった。バイバイ! モンスターさん!」
手を振りながら、ヒョイ、と落ちているコーギーを拾う。このまままた離れられると困るので、冒険者ギルドに抱えて向かう。
「着いたー」
冒険者ギルドに急いで入る。コーギー達も入ろうとするので、ここで待っててと伝える。
中に入ると、視線がこっちに向いてるのが一瞬でわかった。睨まれていたり、避けられていたり……まあ、あの
「こんにちは! ギルド長に報告することがあってきました!」
「いらっしゃいませ。どんな報告ですか?」
「あー、私の私有地の近くに、新しいダンジョンが出現しましたー。ほぼほぼオークだらけでした。ほかは……」
「もう乗り込んだんですか!?」
受付員さん……びっくりしすぎて声大きい。
「乗り込んじゃいました☆」
「乗り込む前に、報告していただかないと困ります!」
そこに関してはすみませんでした
「急いでギルド長に報告してきます」
周りにしっかり聞こえているのであたりが騒めく。
「ダンジョンが出現しただって?」
「どういうことだ!?」
「しかもあの少女、もう乗り込んだって言ってたぞ。あまり危険ではないんじゃないか?」
「でもボルーナヴェルベドンを倒したんだろ? そうとは限らないだろ」
などと、周りの人が言っている間。
「こいつ、本当はボルーナヴェルベドンにやられたんじゃないかー? それを嘘をついて『私が倒しましたー』って見栄を張ったんじゃねえか?」
男の人が、私に近づきながらそう周りに言う。
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