第15話 ワンワンパニック!!!

「これって、どう見てもダンジョン……」


「私、初めてダンジョン出現の最中に出くわしました」


「私もー」


「ゑ? ライ?」


 そうライの言葉に驚いている最中、ルーちゃんが階段を下りていった。


「ルーちゃん! どこ行くの!」


「ウニャー!」


 その鳴き声にライは察して、


「んー、ダンジョン行きたいんじゃない?」


 と、言葉を出した


「じゃあ行くか」


 脳死の状態で答えた結果。まあ大丈夫だよね! ステータスぶっ壊れてるから


「二人とも! そんな軽装備では無理です! いったんギルドに報告したほうが……」


「大丈夫ー。私には3種の神器セットがあるからー」


 イアさんの言葉をさえぎって、三種の神器セットのことをサラッと言った。その言葉を聞いたイアさんは、ポケモ〇のコダ〇ク顔になった。


「??? では……私もついていきます」


「「え? 大丈夫なんですか?」」


「年下二人に心配されるのは、なんだか複雑です」


 私とライの言葉がぴったりはもりイアさんに刺さる。ごめんなさい……私とライはともかく、イアさんのステータスは確認したことなかったからちょっぴり心配ってだけで……(全然フォローできてない)


 階段を下りていくと、東京ドームおよそ1/10個分の大きさの部屋があった。


「ヴァァー!」


 私たち三人をお迎えしたのは、赤く所々が白い、小さなドラゴンだった。


「あのドラゴン、なんていう名……」


 私が訪ねている最中に、イアさんが叫んだ。


「嘘でしょう! ゲーニウォックがいるなんて!」


「ウォック? ってことは……ジャバウォックの派生?」


 ジャバウォックとは、暴れん坊の竜って言った方が早い。小説読んでたら出てきたんだよなー。あと確か、不思議の国のア〇スに出てきたはず。(あと鏡の国の〇リスにも……)

 そう思いだしている最中に、ライが軽く説明する。


「ちょい違う。確かにジャバウォックは、有名なドラゴンとしているけど、この子は一応レアモンスター」


「はぁー!? レアモンスターは目の前にもう一匹いるんだって!」


「運がいいねー♪」


「逆に怖いわー!」


 そう私とライで漫才している間に、ドラゴンが、炎を出すために息を吸う。


「気を付けてください! 攻撃が来ま……」


 私はゲーニウォックの後ろに回って抱き上げる。


「可愛いね~。ひんやりしてて気持ちい~♪」


「ギャー!?」


「「え?」」


「あー噛んでるー。歯がないから痛くないんだよねーこれ実質甘噛みなんだよねー」


「グワァー???」


「「え??」」


「……『テイム』するわー」


「「え???」」


 テンテンテロリン♪


 会話のテンポがまさに漫才になっている二人を横目にゲーニウォックをテイムする。ポケモン〇ンターの回復音が鳴ったということはできたという事だろう。


「グワァー♪」


「こんなかわいいちょっと大きなトカゲを逃がす人いるか? いねーよなぁー!?」


「おー!」


「???」


 私は半ボケ半突っ込み役。ライはボケ役。イアさんは、サカバンバスピス顔役。


「ちょっと大きいチョロさん。カワイイカワイイね♪」


「キュアー♪」


「なんていう人達……瞬きする間にゲーニウォックを手懐けてしまうとは……」


「そういえば進捗達成したいたな。どんな進捗だろ?」


『進捗、【ドラゴン使い】を達成しました。 200pt獲得しました』


「ドラゴン使いかー」


「ニャー?」


「ガァ?」


 ゲーニウォックは、私に金色のくりくりとした瞳をこちらに向けてコテンと首を傾げた。


「首傾げてるー!」


「……とりあえず、次に行きましょう」


「はーい」


 下へと続く階段を下りると、そこには、イノシシの顔。図体は豚のように大きく、くぎ打ちバットを持っているオークがいた。殺意マシマシだー!


「ブギィー!」


「ヴ二ャー!」


「ガァァー!」


 モンスター同士が威嚇する。その隙に私は、創造で刀を造りオークの後ろにいき、首を斬る。

 一匹、二匹、三匹、四匹……南無阿弥陀仏。南無阿弥陀仏。


 ライは、モンスターの退路をとっても分厚い氷で防ぐ。炎だと、ごり押しで逃げれるからかな?

 その間イアさんは、孤立しているオークに弓矢をお見舞いする。見事頭に命中


「ブギャー」


 その間に私もしっかりオークを斬る。

 8匹、9匹、10匹、11匹……


 これが鳩サ〇レー首狩り族の力だー


 ライは、笑いながら見ていた。そんなに絵面面白いのかな?

 ルーちゃんたちの方を見る。

 ルーちゃんは、オークの頭を足場にして飛び、オークの注意をそらし、オークがくぎ打ちバットを振り下ろそうとしたときに、ゲーニウォックがオークを丸焦げにする。いい連携してるなー!

 この調子でやっていたら普通に終わったので、次の階段を下る。

 次に出てきたのは、


「クゥン? ワォン!」


 ふさふさな尻尾。クリーム色の毛、にっこにこの顔


 ……ゴールデンレトリバー? でもなんか大きすぎない?


「ワン!」


 尻尾を振りながら、かろうじて認識できる速さで迫ってくる。


 ……テイム


 ゴールデンレトリバーの首に、きつね色の首輪が出現する。

 このままじゃあ、私がゴールデンレトリバーを吹っ飛ばしそうなので、指示を出す。


「ストップ!」


「!!!」


 ゴールデンレトリバーは、私の一メートル前で急ブレーキをかける。


「はい! いい子!」


「ワンワン♪」


「あーーー! 由衣だけずるーい! 私にも撫でさせてー!」


 ライも犬好きだねー。


「ニャー」


「キャーガ?」


「あー、犬に猫に小っちゃいドラゴン。今日はテイム日和だー!」


「この子……いったい何者なの……」


 そうイアさんに呆れられながら、オークとかよくわからない物とかミミックを倒しながら進むと、最深部についた。

 扉の前に立ち、そっと手を触れさせる。


 ギイィィィー……


 そこにいたのは……

 小っちゃい背中。短い脚、大きな耳。そして食パンのようなおしり……






「ワン!」「ワン!」「ワン!」「ワン!」


「ワン!」「ウァン!」「ワァン!」


「ワン!」「ワン!」「ワン!」


「ワン!」「ワン!」「ワン!」「ワゥン!」「ワン!」「ワン!」


 ……集団のコーギー。


 ……これのどこがボスなの!?


「ワン!」「ワン!」「ワン!」「ワン!」


「ワン!」「ワン!」「ワン!」


「ワン!」「ワン!」「ワン!」「ワン!」「ワン!」「ワン!」


「ワン!」「ワン!」「ワン!」


「うわー!?」


「キャァー!?」


「えー!?」


 そっかー! このコーギーたちがボスな理由分かった。

 集団でこっちに向かってくるからだ!

 一匹ならいいけど、十匹以上となると、さすがにやばい。あと可愛すぎて倒すのが無理!


「ワー!」「ワン!」「ワン!」


「ワン!」「ワン!」


「ワン!」「ワン!」「ワン!」


「キャン!」「ワン!」「ワァン!」


「ワン!」「ワン!」「ワン!」「ワン!」「ワン!」


 コーギーの波が私に迫ってくる。ならば……


 テイム!!!


 テンテンテロリン♪


「ワン!」「ワン!」「キャン!」


「ワン!」


「ワン!」「ワン!」「ワォン!」


「ワン!」「ワン!」



「ワン!」


「はい、ストップ!」


 ピタっと、コーギーの波が止まる。


 ギィィィー……


 波が止まると同時に、最深部から地上へ転移する感圧板が、扉の向こうから現れる。


「……ゴー!」


「ワァン!」「ワー!」「ワン!」


「ワン!」「ワン!」「ウォン!」「ワン!」「ワン!」


「ワン!」「ワン!」「ワン!」「ワン!」「ワン!」「ワン!」


「ワン!」「ワン!」


 私が合図を出すと、一斉にコーギーの波が方向を変えて、感圧板を踏みに行く。


「キャンキャン!」


 それと同時にさっきテイムしたゴールデンレトリバーが、コーギーの波に混ざりながら感圧板を踏みに行く。


「私たちもいこう!」


「……」


「りょーかーい」


 感圧板を踏む。一瞬まぶしくなって、外へ無事に出られる。一面に広がる草原。足元に密集する犬猫ドラゴン。遠くをみると、私の銭湯が見える。


「帰ってこれたー! ……さて、これはさすがに放牧場作らないとなー」


「ワン?」「ワン!」「ワーン!」「ワン!」


「ニャー」「ワン!」「ワン!」「ワン!」「ワン!」


「ワン!」 「ワン!」「クゥン」「ワン!」「ワン!」「ワン!」


「キャァ」


「うん……そうだね」


 隣では、イアさんの魂が抜けていた。


「イアさん? イアさん! 大丈夫ですかー!」


「どういう……ことが起きた……の?」


「あーイアさーん! しっかりしてー」


 この後、温泉に入って落ち着いてもらった。

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