第6話 がばがばな人たち

「そこのお嬢さんたち、止まりなさい」


 二人の兵士が私たちを止める。


「通行許可証は持っているか? もしくは冒険者カードだが」


 通行許可証なんてあるの!? そんなのもってないよー。冒険者カードもこっちに来たばかりだからないんだし……。


「冒険者カードなら持っていますよ」


 なるほど、マg……ライは何度もこの町に遊びに来ている様子だったし、持ってるのもおかしくないね!

 ライの差し出したカードを見て兵士は満足げにうなずいた。


「うむ、確認した。そっちのお嬢さんは?」


 やっぱそうだー。ライの分があっても私の分がないとダ……。


「私の友達です」


「なるほど、通ってよい」


 いや通っていんかい! ちょっとがばがばすぎないか? まいっか。

 扉を開けてくれた兵士にありがとうございますと頭を下げながら通って門の中へ入る。

 入った瞬間目に入ってきたのは……。

 人、ほかの種族、人!

 めっちゃ人とかいるなー。見た感じ明らかにドワーフぽい人とか、プラチナのような髪色の人とか……もしかいて冒険者かな? ライが兵士に見せていたカードは「冒険者」カードだからその人たち居てもおかしくない。


「おーい! こっちだよー」


 ライが私を呼ぶ。


「はーい」


 そうだった。お金稼ぎに来たんだったー。いけないいけない。

 ライについていくとお城についた……ん? ここって「街」だよね? よく考えたらなんで「国」じゃないの?

 この疑問は次の瞬間「なるほど」に変わった


「ついたよー。ここが冒険者ギルド! 色んな依頼を受けてこなしていけばたくさんのお金が入るはずだから」


 ……見た目はお城、中身はギルドってか。

 ライと一緒に入っていくとここにもたくさんの人がいた。

 天井には、とてもきれいなシャンデリア。右と左の柱に掲示板があって、そこには何枚もの紙が、ピンでとめてある。そして左側には居酒屋があって、中の人たちはお酒や料理に舌鼓を打っている。床には赤く、端が黄色い絨毯がひかれていて、その絨毯は受付に続いている。

 ここが冒険者ギルドかぁ……。人がめっちゃいるからお城と勘違いするほど大きいのも納得だ。

 まっすぐ絨毯の上を歩いて受付に向かう。

 受付員が私たちを見て挨拶をする。


「いらっしゃいませ。冒険者ギルドです。本日は、どういったご用件でしょうか」


「私の友達の冒険者登録をしに来ました」


「了解いたしました。少々お待ちください」


 そう受付員が言うと、何かを持ってくるのか行ってしまった

 ……もしかしなくても、私の登録だね。


「冒険者になるには、登録をしないといけないんだけど、年齢制限があって、10歳からなんだよね。私ぎりぎりだった」


「10歳から!? 結構早いね」


「ダンジョンや依頼が、結構あるからね。たくさん人手が必要になって、どうしましょうってなったのから、『じゃあ10歳からOKにしましょう』って」


 なるほど。でも大丈夫なのかな? ケガするかもしれないのに……。

 待っている最中、右側の壁にある掲示板が目に入った。どうやら情報掲示板らしい。

 情報掲示板の近くに行って内容を見ると、「温厚なモンスターが乱獲されている」や、「ダンジョンに新しい隠し通路が見つかった」、「レアモンスターが出現した」など色んな情報があった。

 受付近くに戻るとジャストタイミングで受付員が戻ってきていた。タイミングばっちりすぎないかな?


「お待たせいたしました。ここにお名前と誕生日を記入してください」


 おっと名前と誕生日。記入し終わると受付員が


「ありがとうございます。……ユイ様ですね。これから冒険者のランクや、制度などについてご説明しますが、よろしいでしょうか?」


「あっ、大丈夫です」


 と、ライ。ライがそういうからまあ大丈夫なんだろう。


「かしこまりました。こちらがユイ様の冒険者カードになります。なくしたりしますと、再発行する必要がございますので、お気を付けください」


「分かりました」


 受付員から渡されたカードは、白色のシンプルなカードに、私の名前と誕生日が書かれた感じだった。


 テンテンテロリン♪


 おっともう進捗達成した? 何達成したんだ?

 『進捗、【冒険者の一歩】を達成しました。100ptを獲得しました』


 早速依頼を受けようかな? なんか簡単な、いら……私にはチートスキルと神がついているんだった。

 どんな依頼からやろうか考えてると、ちょうど良さそうなのがあった。


「ボーテンドダンジョンの大量発生中のゴブリン15体討伐」


 ちょうどいいな。肩慣らしにやってみよう!


 ライに伝えると、「その紙を受付員に渡そう」と、言われたので受付員に渡す。


「失礼ですが、この依頼はユイ様には、まだ厳しいかもしれません……」


「あっ、大丈夫です!」


 受付員が、心配と困惑が入り混じった顔になってる。


「そうですか……分かりました。お気をつけて行ってらっしゃいませ」


 いや行かせるんかい! 駄目でしょうが普通。……まあそっちの方がありがたいからいいや。

 ……これが初の依頼……。頑張ってクリアするぞー!

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