第7話 初のゴブリン退治は、必ず何かが起こる

「ボーテンドダンジョンの大量発生中のゴブリン15体討伐」

 

 これが初の依頼。頑張ってクリアするぞー!


 ライから地図をもらったので、人に見つからないよう工夫しながら、私たちは飛んで移動している。


「そういえば気になったんだけどなんで転移使わないの?」


「それは単純。MPの消費が激しい」


 そういう理由だったか。確かに残しておかないと、いざというとき魔法とか使えないもんね!


「あと『マギア』ってどんなスキル?」


「この世界に存在する魔法をすべて使える」


 飛んで飛びすぎたスキルだな!? ……これMP残さないといけないのって私なんじゃ……。


「あ、ついたよ」


「はっや」


 飛んで5分しないうちについたぞ!? ……まあDEX素早さ普通に高すぎるからそりゃそうか。

  木々に囲まれた森に、「ボーテンドダンジョン」と、看板が掲げられた洞窟の入り口があった。

 ……これを見てると、風穴の鍾乳石の頭ぶつけたことを、思い出してくる。


「早速入るけどいい?」


 ライ……装備買ったりしようよ。


現世異世界ネットで装備買えるからちょっと待って」


 言いながら、ショッピングを開く。


 現世異世界ネットでは、「ダンジョン」と、いうジャンルのところで装備も買えるのだ。えーと武器は、……は!?

 なんかやばいもの見た気がする。




『3種の神器セット。

 八咫鏡やたのかがみ八尺瓊勾玉やさかにのまがたま草薙剣くさなぎのつるぎの3点セット。

 初心者におすすめ。 50pt』


 いや、なんで手鏡より安いんだよ!? あと、さらっと神器出すなし。それに八尺瓊勾玉やさかにのまがたまは、天照大御神を天岩戸から、出すときの祭りで飾られた勾玉だから、これに関してはどういう風に使うんだよ!? そんでもって「初心者におすすめ」とはなんだ!? 「初心者におすすめ」って!


 ……まさかこれ、詐欺か? 50ptは安いから……でもこれ詐欺だとしても、たった50pt取られるだけだから、ちょっと買ってみようかな? (脳死)うん、よし買おう。


 『3種の神器セットを購入しました。しばらくお待ちください』


 テレテテレテン♪


 おい誰だ1UPキ〇コ食べた人は!? ……着信音か。


 ズズズズズズー


 なんか、右から引きずられてる音聞こえてくるんだけど、大丈夫か? 


 右を見ると段ボールが、突進して来るような勢いでこちらに来ている!

 なんだこれぇー


「何アレー」


 ライに関しては、声に出てる……。

 段ボールが、私の目の前に来ると、


 ピタッ……


 ……そのまま止まってしまった。

 段ボールの宛先を見ると、「雨水 由衣様」と、書いてあった。

 ……なんか突っ込みどころあるけどとりあえず開けてみよう 

 段ボールを開けると、トレイのような大きさの、太陽の光を閉じ込めたような赤い鏡と、モン〇ンに出てきそうなくらい大きく、鞘が青い剣。あとは、翡翠でできている勾玉の髪飾り……髪飾り? の、3つが出てきた。

 これ、まさか本物の3種の神器!?


 試しに、3つとも装着してみる。……なんか体が軽くなった気がする。

 ステータスを確認。


 ステータス

名前 由衣 雨水 年齢12


STR 936(+118) CON 595 SIZ 23 


DEX 782(+55)  HP1488(+265) MP 1548/1559(+155)


スキル すべてを見通す目 創造 消滅 未来予知 自分だけの時間 ステータス観覧 隠密 テイム 飛行 付与・治癒再生 形勢逆転 転移 マギア 現世ネット最高



 なるほど、これが例の補正か……ステータスが、ぶっ壊れになったなー。


 「準備はいいー?」


 ライは、「お散歩行こう!」と、言っている犬みたいな顔で待っている。


「いいよー」


 こんなに補正つくなら、装備いらないだろう。


 初めてのダンジョン。いっくぞー



 焦げ茶色のレンガでできた階段を降りると、目の前に飛んできたのは、教室くらいの大きさの部屋。ここが1フロア目らしい。

 部屋に入ったと同時に、私の冒険者カードが私のポケットから飛び出した。


 部屋の奥を見ると、変な生き物が集団でいた。

 大きな目。そしてとてもとがった耳。この特徴からしてこいつらがゴブリンだ。

 数を数えなくても10体以上いるのは明白だ。


「よーし由衣の初めての依頼、始めるぞー」


 そういったライの掛け声と同時に、ともにゴブリンがこちらに木の棒を振りかざしながら迫ってくる。


 私は、草薙剣を構えるが、一つ問題があった。

 ……どうやって使うんだ?

 握って立ち尽くしているとどうしようもないので、とりあえずショートソードのように使うことにした。


 ショートソードという考えに置き換えれば、チャンバラの子供対決で優勝した私の腕前が発揮する。 

 まず、向かってくるゴブリンが、木の棒を振りかざす寸前で、バックステップを取り剣で首に突き刺す。また一匹向かってきたので、とりあえずける……は?


 けりを入れたゴブリンは肉塊になりました……。まじか。

 もうこぶしとかでやった方がいいと判断したので、時空袋に草薙剣を入れる。それと同時に三体ゴブリンが向かってきたので、最初の一匹のおなかに左手でこぶしを入れる。次に一番近いゴブリンに右手でアッパー。最後のゴブリンは木の棒を振ってきたので、いったん距離を取り、足元にあった小石を投げつけて爆散☆


 またゴブリンが一匹で突撃してきたので、近づいてきたところを胸ぐらをつかんで、奥で様子見しているゴブリンたちにぶん投げる! たくさんのゴブリンが悲鳴を上げながらよけようとするが、時すでにお寿司。バタバタと一気にドミノ倒し。

 ほかの見ていたゴブリンが、勝てないと判断したのか、逃げようとし始めた。


「待てー」


 走って追いつこうとする。……ところが、わたしのDEXは、782。当然このスピードは制御できるはずがなく、壁に激突。その衝撃で、がれきがたくさんぶっ飛んで、そのうちの一つがゴブリンの脳天に直撃。ラッキー。……あとは、全部逃げちゃったけど……。


 倒したゴブリンの数を数えると、11体だった。あと4体倒せば依頼達成だ。


「がんばったねー」


「ライ……ちょっとは手伝ってほしかった……」


「いやー。初心者のゴブリン退治は、なんか毎回ハプニング起きるからさー」


 はあぁ。今回のハプニングは、壁激突ですか。


 テンテンテロリン♪


『進捗、【雛の狩り】を達成しました。100pt獲得しました』

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