第3話 やることがネタに走っている神とサイコロ(2)

SIZ身長はさすがに5d10にするね」


 いやこの際身長も変わるのかよ


 ガラカラガラ~


 23


「よかったねー、ちょい下だけどほぼ平均だよ」


 でも私の身長は少しも変わる気配がない。


「あの、身長変わってないんですが?」


「それに関しては、転移してから変わるという感じだよ」


「なるほど。了解しました」


「……敬語だと話しにくいから敬語なし」


 ? ? ? ? ?


「敬語なし?」


「そう、敬語なし」


 こんなにフレンドリーな神様を見たことはあるか? いや、ない! そもそも神様に一回しか会ってないか。


「じゃあDEX素早さ


 ガラカラガラ~


 671


 ころがったダイスの中に1ぴったりのダイスを見つける。


「おおー1ぴったしだー」

 


「何か縁起がよさそうだから、プラス111!」


「ゑ?」


 そう驚いた瞬間


 782


 この神……やりやがった。782は数字からするに高速なんだよなー。

 

「じゃあ次みんな大好きAPP見た目


 いやいやいや見た目も変えるんかい!?


 ガラカラガラ~


 910


「やったね! 絶世の美女だよ!」


「誘拐されそう」


「誘拐されたら持ち前のSTRでコテンパンにしてやれ」


「その手があったか」


 自分の頭の中から消滅しかけていた馬鹿力を思い出して思わず納得してしまう。


「次は、MP! MPに関してはみんなダイスを15d50にしてるからあなたは30d100ね」


 ガラカラガラ~


 1559


「はい、ステータス決め終わり!」


「ちょっと気になったことがあるんだけど、ステータスって変わることある?」


「あるよ、0歳から10歳まで。その時は、STRとDEXが制限されてる感じ。あとステータスを上げてくれるアイテムを使うと上がったりかな?」


「補正じゃない?」


「補正じゃない方。補正は、スキル使うと出る感じだから」


 ゲームの世界みたいだなー。あっち現世に関してはなんかもう、人を道具に扱うことがほぼほぼ当たり前だからなー(主に会社とか父がブラック会社に明け暮れていたし)あっちでもあるのかな? ……考えないようにしとこ。


 そう考えていると横からマギライアが、


「よし、スキル決めたから発表するね。あと名前はそのまんまだから」




ステータス


名前 由衣 雨水 年齢12


STR 936 CON 595 SIZ 23 

DEX 782 MP 1559

スキル すべてを見通す目オーミスペルビディオクース 創造クリエイト 消滅デリート 未来予知フードラプライディーショレン 自分だけの時間ジャストミータイム

 ステータス観覧 隠密 テイム 飛行 付与・治癒再生 形勢逆転 転移 マギア

現世異世界ネット最高 




 うん、名前でわかる。全部ぶっ飛んでることが……。だけど3つ分からないものがある「付与・治癒再生」と、「形勢逆転」あとは「マギア」……最後の「現世異世界ネット最高」って名前の付け方がノリと勢いなんだよ。そういうの大好き!

 

「じゃあ転移しよっか」


 マギライアが私に声をかける。


「はーい」


 私はパソコンをしまい、7㎏近くあるランドセルを背負って駆け寄る。


「あっそれは置いておいて代わりにこれ使って」


「? はーい」


 私はマギライアから渡された袋をまじまじと見る。


「時空袋。物を中に入れると、その物の時間が止まって永久保存できるよ。因みに無限に物入れられるよ」


 来た! 異世界転生(転移)系小説に出てくるアイテムナンバー1といっても過言ではない物!

 とりあえず私は持ってるものすべて袋に入れた。


「それじゃあ私もついていくから異世界生活がんばろー」


「ゑ?」


 びっくりしている間に転移する用の魔法陣が足元に現れて、あの時と同じように六芒星が早く回転していき光に包まれた。



 鳥のさえずりが聞こえるのを感じてそっと目を開ける。


「わああぁー」


 足元ではふかふかの触感をだす先っぽがくすぐったい草が広がっている。あちこちにバオバブのように巨大で立派な気が立ち尽くしており、そこを見たことない生き物がスキップするかのように歩き回っていたり、追いかけっこしたりしてる。空を見上げれば水を纏った魚が泳いでいたり、ペリカンと白鳥を足して2で割ったような生き物が集団で水を纏う魚を狙って飛びまわってる。

 目の前に広がっている景色は今までいた世界とは別。その事実が、私を偉大な冒険へと引きずり込むのは……まだ由衣は知らない。

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