第8話生物学博士宮本万吉(みやもとまんきち)

礼子の問いに「そうですねお願いします。」


と、馬鹿丁寧にお辞儀をして、礼子の促すソファーに女を座らせ黒縁メガネも座った。続けざまに礼子こが座り「お客様、初めてですか?」素知らぬ顔で突っ立っているクロークの哲夫を睨んで、次に男を観た。」


笑顔だった。


「自分は宮本です。」


と見た目は大人しい感じで、高身長の割に丈の短い革のジャンパーをジャンパーの下には緑のストライプを描いたワイシャツを着こなしていた。


 ワイシャツの胸ポケットにチラチラと見え隠れする名札には生物学博士「宮本万吉」と、書いているのが観えた。


「万吉さんと仰るのですね・・・。


今度お食事でもどうかしら?」


 他愛もない口ぶりで親近感を装い再来店を促す話法は礼子の得意技で、純粋な客程、その話法に掛かり次の来店の約束と食事の約束をした。


同伴約束の食事だった。


 ちゃっかり同伴にさせて万吉を手玉に取ったかに観えたが・・・。

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