蜜柑の選び方 題材 みかん

 私はスーパーに買い物に出ていた。

蜜柑みかんが安いよ、袋に詰め放題!一袋170円。大体10個くらい入るよ!凄い人は20個かな!」

 私は店員の呼びかけに気になり、そちらを見る。

 沢山の人が蜜柑の詰め放題をやっていた。一袋10個は入れられるなら、安いほうじゃないだろうかと思う。一個17円くらいで買えるということだ。

 私は順番待ちをすることにした。

 私の番になり、袋につめていく。けれど、良い蜜柑がどんなのか解らなくなった。

 すると隣にいた女性が口を開く。

「よい蜜柑って形が平べったくて、実の大きさの割に重くてヘタの色が緑で、軸が細い。で、色が濃く、色ムラがない。新しい木からよりも3年くらいの木のが良いものが採れるからね」

「え。そうなんですか」

「主婦のちょっとした豆知識だよ」

「ありがとうございます!」

 私は女性に教えてもらった通りの蜜柑を手に取りながら入れていく。

 形が平べったく、実の大きさのわりに重い。ヘタが緑で細い、色むらがない。憶えた特徴を頼りに手に取っていく。

 私が袋に詰めていると、先ほどの女性が笑顔で「その調子」と言って褒めてくれた。

 女性の袋を見ると、かなり綺麗に入れていた。私はこの女性がプロに見えた。

「すごい綺麗に入れてますね」

「いや。そうでもないよ。積み上げていれていくといいよ。パズルみたいに。あと、買ったすぐに袋から出したほうがいいよ」

「そうなんですね」

「うん。圧迫あっぱくで蜜柑が腐食ふしょくするからね」

「知らなかったです」

 私の反応に女性は少しだけ嬉しそうだった。女性は蜜柑農家の人なのだろうか。私は女性に質問する。

「蜜柑農家の人ですか?」

「いいや。違うよ。単なる主婦だよ」

「そうなんですね。今日はありがとうございます」

「いいって。単なる気まぐれだから」

女性は颯爽さっそうとスーパーのレジに向かっていく。「単なる主婦」と言っていたが、ある意味で「プロ主婦」というべきだと思った。

 生活に工夫くふうらすことの出来るプロだ。 私は改めて、プロ主婦が凄いと思った。

了 44:07  題材 みかん

引用

JA全農ながさき 参考

http://www.n-koi-mikan.com/how-to-choose/

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