親友2 題材「宇宙人」
私もよく出来た人間ではない。けれど、友達の
豊子はいつも約束を忘れたり、ドタキャンしてくる。それを理解していたし、容認していた。
けれど、今回は本当に失望した。その理由を別の友達、
「豊子が
「それはすごいね。
「解る気がする。今話している内容と違うことに反応したり。さっきまで誰かが話しているのに、その話を終わらせて自分の話を始める時あるよね」
私は
「だよね。私はあれがちょっとだけウザイと思っていた。だって。他の人が楽しく話しているのに、自分が話したいからってその話題のマイナスになること言ってくるじゃん。自分が中心じゃないと気が済まないタイプだったよね」
私は菜々子の言い分に首を縦に振る。私はオレンジジュースの入ったグラスのストローから一口飲む。
「私が酷いって思ったのは、私が応援しているバンドのをいちいち、批判してきたことね。「どこが良いのか解らん」って。言ってきた。別に理解できなくても、目の前にそれが好きだと言う人がいるなら、あんまり言わないほうがいいよね。軽く流したけど。内心、すっごくイラついた。豊子は忘れているかもしれないけどね」
私は菜々子に豊子の
「あとさ。お土産買ってきたときもね。酷かったよ。「何かつまらない」とか。「もう買ってくるの止めるね」って怒ったら謝ってくれたけどさ」
「そんなことが。
菜々子は私の豊子への悪口を
豊子は私に対してどんな感情でいたのだろうか。悪口を言っている私に対して、良く思っていなかったかもしれない。
「本当にどうして、友達だったのだろうね」と私はつぶやき、ケーキを一口、フォークで刺す。それを口の中に含む。
「人って変わっていくじゃん。だから。友達になった時は気が合っていたかもしれないし。私は加奈と友達になって、その
私は菜々子の言うことに関心した。確かに「人は変わっていく」。過去に気が合っていたとしても。今はどうだろうか。
「私と豊子は10《じゅう》
「へぇ。その時はどうだったの?」
「大人しい感じで、あんまり喋らなかったよ。何か凄く
「へぇ。意外。今は結構。自分の主張するよね」
「うん。で、その時はすごく思いやりがある感じだったよ」
菜々子の言ったとおり、豊子は性格が変わってしまったのだろうか。それとも私自身が豊子への感情が変わってしまったのだろうか。私は悲しくなってくる。
「ねぇ。彼氏を盗ったとかさっき言ったけど、本当?」
「……。私に
「マジで?それ。それについて豊子に聞いたの?」
「聞いていないよ」
「え。それはちょっと
「だって。聞けなくない?」
「いやいやいや。加奈の
「だって」
私は菜々子の指摘に、早とちりかもしれないと思えてきた。でも、そう思って話した手前、認めるのもモヤモヤとした。菜々子がため息をつく。
「だってじゃないよ。私も豊子にモヤつくことあって愚痴を言ったけど。豊子にちゃんと聞きなよ?」
「……。解ったよ」
私はスマホを取り出した。電源ボタンを押すと、二件ほどの通信アプリのメッセージと着信があった。それは全て豊子からのものだった。未読のメッセージを開ける。
私は少し涙目になった。
「え。どうした?悲しいことあった?」
「うんうん。違う。いいこと」
豊子のメッセージは『お誕生日、おめでとう。いつも仲良くしてくれてありがとう。大切な友達でいてくれてありがとう。これからもよろしくお願いします!』
と書かれていた。
私はすぐに豊子に電話を架けた。
了 36:14 題材「宇宙人」
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