第31話



 出航前のお茶の時間。

その時、通信長のレイが報告する、


「ローン大佐から無線連絡です」


「船内放送で受け取ってくれ」


 クロウ船長が答える。


「了解、全艦放送で受けます」


 艦橋には、ロスゴダ地下組織司令官ローン大佐の顔が映る。

少しいぶかしげな顔をして、


「皆さん、お揃いですか?」


 ピナルス、コスモバトルシップの艦橋の受信画面には海賊船ルーナ号の艦橋全体が映し出されている。


「そちらの状況は?」


 クロウ船長が尋ねる。


「いつでも出発できます。ところで、レゾルト副長、ティア少尉、デニス航海士は、どうするのですか?」


「この船に残ってもらう。この三人は私達の仲間だ」


「レゾルト副長、ティア少尉、デニス君、君達はそれで良いのか?」


「そのように命令が下されれば」


 レゾルトの返答に対し、少し笑ったように見えたローンが、


「命令だ」


 と答える。


「こちらも出港準備は整っているが?」


「では、カート・ホイール銀河へ」


「行こう」


 通信が切れると、クロウはロスゴダの船乗り三人に向かって言う。


「君達の身柄は、この船が預かった。ローンの命令を聞く必要はない」


 三人の目は、クロウを見つめたまま動かなかった。

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