第28話



 完全に囲まれたピナルスの9−2援護隊は成す術もないように見える。

それでも最後の悪あがきか、9−2援護隊隊長が言う、


「ロスゴダの兵士に言う、ハッタリはやめろ、お前達に素粒子銃はない。先ほどの手榴弾もTNT(トリ・ニトロ・トルエン)ではないか。素粒子を小型化できる技術があれば、投擲とうてきに素粒子を使う筈だ」


「悪あがきはやめるんだ、ピナルスの兵達よ。私の持っているこの銃が素粒子銃だ」


 そう言いながらクロウは、盾にしていたピナルス9−3救護班の兵士たちの前に出る。


「撃つなら撃ってみろ」


 クロウは片手しかないその右手でソードガンを抜く。

ソードガンは既に反素粒子をまとい白色を示している。


「貴様、ロスゴダの兵士ではないな」


 9−2援護隊の隊長は、そう言うと素粒子銃の引き金をクロウ目がけて弾いた。

眩しいくらいの光が走ったかと思うと、クロウのソードガンが輝いた。


「なんだと、素粒子をソードで受け止めただと」


「残念だが、私に素粒子は効かない」


「何故だ、何故なんだ」


「このソードガンは反素粒子を纏っている、こちらに向けて放たれた素粒子に反応し自由に動く、そうやって素粒子を受け止めるよう造られている。撃つならもっと至近距離から狙え」


「馬鹿な、そんなことが有り得るはずがない。貴様、一体誰だ」


「私はクロノスの民、ルーナ号の船長、クロウだ」


「貴様が、あの海賊の船長か」


「私のことを知っていたか、それなら話が早い。無理にとは言わないが、投降しろ」

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