第27話
格納庫に残ったピナルスの兵士達は、赤く焼け落ちようとしている鉄の扉に銃口を向けている。
鉄の扉が焼け落ちると同時に、ロスゴダの暴動を起こした一般人が飛び込んで来るに違いない、彼等はそう思ってる。
然し、扉が焼け落ちても、なんら変化が無い。
所詮は暴徒、飛び込んできたところを一斉射撃で全滅させるつもりのようだが、動きがない。
そこへ、扉の向こうから片腕だけが現れた。
ピナルスの兵士達は、その程度では射撃しない。
飛び込んできたところを一網打尽にしたいのだ。
だが、その一本の手は、硬い石ころのようなものを投げたようだった。
咄嗟に危険を感じた9−2援護部隊の隊長が叫ぶ、
「全員、トーイングカーの後ろへ、伏せろ」
少しの間を置いて、大きな爆発音が聞こえる。
小型の手榴弾である。
「入ってくるぞ、そのままで、伏せたまま構えろ」
然し、一向に動きがない。
「2投目、来るぞ」
またしても9−2隊長が叫ぶ。
床に硬い音が転がり、間を置いて爆発する。
「今度こそ、来るぞ、構えを崩すな」
9−2隊長の予想は当たった。
暴徒と思われた1団が突入して来た。
その1団は、戦闘服を身に纏った立派な兵士達であった。
それを見た9−2隊長が声を大にして叫ぶ、
「奴らは暴徒ではない、兵士だ。油断するな、撃て」
「いいえ、撃ってはいけないわ」
9−2援護部隊の兵士たちの後ろで、聞きなれない女の声がする。
9−2援護兵が振り向くと、彼等の背後にはピナルス救護隊員を盾にした、三人の戦士が素粒子銃を構えて立っている。
そして、先ほどの女が、さらに大きな声で叫ぶ、
「ロスゴダの地下組織の兵士達へ、撃つな。私は宇宙海軍パイロット、ティア少尉だ。あなた方のおかげで、ここは制圧できた。構えを崩さずにそのまま近寄って来て」
ティア少尉は続けて言う、
「ピナルスの兵士達よ、少しでも動くとその背中から前に向けて素粒子が風穴を開けることになることを忘れるな」
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