第26話
フォー3の若いパイロット、シラーが船窓から外を見ると、
「一部の兵士が、この場所から外へ出て行く」
その言葉に答えて
「始まったようだ」
クロウが言う。
「何が始まったんだ?」
シラーのその言葉にクロウが答える、
「地下組織だ」
その言葉を聞いて不思議そうな顔をしているシラーにクロウが答える、
「レゾルトが言っていた。ロスゴダには地下組織があると。万が一にも戦略的進行に合った時のために地下に兵士を温存してあると。武器商人らしい考え方だ」
「でも、ロスゴダの兵力でピナルスに勝てるとは思えない」
ティアの切長の目がシラーに突き刺さる。
「奇襲だ。いくら兵力で勝っていたとしても、その兵力に胡座をかいていれば一溜まりもない」
「ロスゴダ星人は、その時を待っていたと?」
「そうかもしれない、ましてや謎の救命艇が帰って来たとなれば、目はこちらに向く」
「レゾルト副長は、それを言っていたのか。でも僕たちは、此処からどうやって?」
「大丈夫よ、彼等が動き始めたのは、私たち救命艇が戻って来たから。空対空素粒子衛星も地対空素粒子砲も発砲できなかったのも、そのせいだと思うの。地下組織があることは知っていたけど、このタイミングで動いてくるとは知らなかったわ・・・」
ティア少尉が不安気に答えた。
「僕たちが近づいた時から、既に行動に入っていたと?」
「そう、多分。ローン大佐と地下組織が秘密裏に動いていた。ピナルス星人が素粒子砲の操作していれば、救命艇を撃ち落としていたと思うの。危険を冒してまで受け入れる必要などないもの」
「そして、僕たちは此処で缶詰状態だ」
その時、黙ってシラーとティアの会話を聞いていたクロウが言う、
「そうかな? あの扉を見てみろ」
言われて扉を見ると、格納庫の大きな扉が熱線を浴びたように赤く溶け始めている。
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