第13話



 ロスゴダ星を遥遠くに見る位置で、海賊船ルーナ号が停泊している。

近付けば、間違いなく素粒子砲搭載衛星から無数のレプトンエネルギーを見舞われ、ルーナ号は宇宙のデブリと化すことは簡単に想像できる。


 海賊船船内は今、沈黙のままである。

各自が食事や、休憩をとりながら、相手の出方を伺いつつ、自分達はどうするべきなのかを思案している。


 海賊船乗組員達はクロウの指示を待っている。

もしくは、今ここで、マザー・ルーナの暗示がないものかと黙然として待っている。


 どれだけの時が流れたであろう。

何度も寝た。

一体、何度のシャワーを浴びただろう。

食事は何十回目だ?


 そんな状態での艦橋で、通信師長レイが急に声を上げた、


「レーダーに反応する船を確認。中型の宇宙船です」


「船籍は分かるか?」


 クロウが問う。


「画像を拡大しながら調べています」


 レイの報告の後に航海長のダフォーが一言漏らす、


「クロウ?」


「未だ動くな」


「船籍不明ですが、船の形からしてロスゴダのものと思われます。コスモ・バトル・シップではないようです」


 レイが報告する。


「戦艦じゃない? そりゃ幸いだ。この神経が間伸びしたような状況で戦艦なんか現れたら心臓に悪いぜ」


 副長のウイスが答える。


「どうも、輸送船のようですが・・・、いえ、救助信号を確認、「こちら戦闘空母救命艇、至急保護されたし」、繰り返されています」


「クロウ、どうする?」


 ウイスが指示を仰ぐ。


「救難信号を発しているんだ。助けに行く」


 そう答えると、続けてウイスが独り言のように言う、


「あの空間で、生きて帰れた奴がいるんだ・・・」


「我々が、星へ帰るまでの間に彼らなりに飛び続けていたんだろう」


「そうだな、俺達は応急処置をして、何度も光速移動をして、やっと時空間移動ができて、星で船をドッグに入れて。奴らは、その間、ずっと飛び続けていたんだなぁ」


「助けに行くぞ、まずは救命艇へ」


「了解」


 ダフォーが言う。

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