第8話



 クロウが書斎に入ると、無線機が音と共に赤い緊急連絡ランプを光らせていた。

受信ボタンを押すと、通信士のレイが出てくる、


「クロウ、マザーが送信してきている」


「内容は?」


「爪を奪われた鷹の眼に一点の曇りあり」


「イーグル・アイ・ネブラのことだ」


「ええ、僕もそう思うんだけど、確か、あそこは武器商人ジゼルの星ロスゴダが有ったと思うんですよ。もしかして?」


「その通りだと私も思う。ロスゴダは今や攻撃力を無くした星だ。緋弱な防衛力しか残っていない筈。武器商人達の格好の的になってもおかしくない」


「それにしても、こんなに早くロスゴダを見つけられるなんて。僕たちは、イーグル・アイまでは飛べたけど、それもマザーのおかげでだと言うのに」


「奴ら武器商人達は、独自の連絡網でお互いの星の位置を把握できている」


「それなら、どうして助け合おうとしないのでしょう?」


「それが武器商人だからだ。無線を切ったら、素粒子回線を開いて全乗組員に波動波で伝えろ。乗船命令だ」


 隣の部屋まで聞こえていたクロウの言葉に母が反応する。

クロウが書斎から出ると、


「出船ね」


 と母が語る。


「ええ、ロスゴダが襲われようとしているみたいなんですよ」


「助けてあげて、星の住民に罪はない」


「ええ、どこの星の武器商人か知りませんが、女子供に手出しはさせません」


「ルーナのご加護を」


「ありがとう、母さん。ルーナの加護の下に」


 そう言うとクロウは、船内用宇宙服に着替え、ソード・ガンを左の腰に下げると、母に一礼して船に向かった。

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