第6話



 カート・ホイール銀河にある星ピナルスは無数の川が流れる水の星である。

その川に沿って美しい建物が並び、商店は常に賑わっている。

そして、その賑わいを支えているのは、星々に売り捌いてきた最新の武器である。


 売り捌いてきた最新の武器とは、その星の文化に合わせた、その時代に合うと言う意味での最新のものである。

戦いで勝利を収めそうな星があれば、敵となる星にその星の武器よりも少しだけ新しい武器を売り、また逆の立場になれば別の武器商人がそれよりも少しだけ新しい武器を売る。

商売敵はあり得ない。

何故なら、武器商人達が望んでいるもの、それは星が変わろうと思いは同じ、つまり星間戦争がいつまでも続いてくれることだけを望んでいる。


 ピナルスの住民達は、そうやって星々から儲けた武器の代金で誰もが裕福に暮らせている。

豪華絢爛な街、そこには必ず、その理由が存在する。


 その美しい街並みから外れた所に武器保管庫があり、隣には防衛隊の基地が林立し、防衛隊はいつでも攻撃隊と変化して宇宙船が飛び立てれるようになっている。


 その星から、総督グスクより命じられた通りに無数の攻撃機型となった宇宙船が飛び、その後に輸送船が飛び立つ。


 今や、ジゼルが死んで残された星ロスゴダは、別の武器商人の星人達ほしびとたちの植民地になるのを待っているだけの状態である。


 もちろん、ジゼルが総督として君臨していた星ロスゴダの星人達には想像すらできない現実が待っているだけだ。


 星間戦争、それは勝利を収めた星が裕福になるのではなく、その裏で働く武器商人の利益の場所であり、月移住区と地球の植民地争いと同じく、星の中での国々の戦争も変わらない事実である。

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