第4話



 クロウ海賊船、正式名はルーナ号。

ルーナ号は、ジゼルとの戦いで破損した箇所を完全に修理し、今まさに、時空間移動の段階に入った。


 時空間移動。

それは時の中に作る文字のようなものである。

時は連続しているようで連続していないアニメのようなものである。

一枚一枚に物語の風景画があり、更に簡単に言えばパラパラマンガのようなものである。

ノートに連続したような漫画をかいて、パラパラとページを流していけば、まるで動いているように見える。

時の流れ、それはそのひとコマで、どれだけの素晴らしい絵をかけるのか? に等しい。


 時空間移動とは、時間の扉を開けることではあるが、そこには扉を開ける鍵が必要である。ルーナ号は、扉を開ける為の鍵を持っている。

それが、圧力を最大限に掛け、局所的に宇宙空間の扉を開ける超素粒子爆発である。

超素粒子爆発によってできた空間の隙間を通過するのは、ノートで言えば一ページの中へ入っていく物語である。

白いページの中で物語を書けば、次のページに移る。

そこが時空間移動の出口である。


「やっと着いたぜ、クロノス。我が母星よ」


 と言ったのは副長ウイスである。

 

 船は中性子星クロノスの上空で制動している。

湖の水面を調べ、周りに他の船が存在しないかを確認すると、


「着水箇所周辺に危険無し」


 と通信士レイが言う。


 その報告を聞いて航海長のダフォーは、ゆっくりと垂直運動で下降し、湖に着水する。


「やっぱ、船は、水の上かね」


 迎撃隊隊長ルイスが言う。


「船長のクロウだ。全乗組員に告ぐ、ルーナ号は母星クロノスの湖に無事着水。副長の指示に従って、下船してくれ」

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