第2話



カート・ホイール銀河。

地球からは、約15万光年。

そしてこの星は、中央部へ小さな銀河が衝突を起こし、散らばった恒星群が周辺を明るく成し、まるで車輪を思い起こせるような形状となった銀河。

端から端まで直径15光年の宇宙に浮かぶ大車輪である。

そして、そこにも生命体は存在する。



 地球では深海に火山があり、その周辺は水圧の為、水温は200度を越え、時には400度にも及ぶ温度になっている。

そこに生物は居ないのか?

チューブ・ワームは、この灼熱の海底火山付近で生息する。

同じような環境で育つエラゴカイは、この噴火口で大量に存在する有毒物質である硫化水素を、さらに有毒物質であるヒ素を使ってチオタウリンに処理し無毒化をおこないながら生息している。


 この近辺に聳える深海の塔チムニーでも、さまざまな生き物が生息しているが、西暦2001年に発見されたウロコフネタマガイは、噴火口から噴出する鉄を取り入れ、外郭つまり貝殻には鉄が大量に含まれ磁石にも反応する。


 マイナス273度では休眠してはいるもののクマムシは生命を維持しているし、放射能7000グレイを浴びても生き続けるユスリカも生物学者であれば誰もが知るところである。


 地球でも神秘生物は現に存在しているのに、宇宙での生命体となれば誰も知る事はできない。

知的生命体ともなれば人知を越えるところであろう。

つまり、相手方には知られているが、此方側からは知ることもできない存在であると言うことである。


 カート・ホイール銀河。

その恒星と恒星の暗闇を航行する船がある。


「総督、ロスゴダのジゼルが殺されたそうです」


 と声がする。

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