第8話  闇黒竜とは!?

 アルデバラン王国の騎士団は、総勢二十一名。

 半数以上が、もと冒険者だそうだ。

 道理で武骨な体格な者が多いはずだぜ。

 それぞれの得意な武器もみんなバラバラだった。


 大弓から、二つツインアクスまで、普通の剣士だけじゃない者が半数以上だ。

 その中でレスターは、魔法使いプラス剣士という立ち位置だ。


 俺は、何故かすごい魔法使いにされてしまった。

 精霊……? を連れてない魔法使いはあり得ないそうなんだ。


(へえぇーー)


 俺は、騎士のみんなに挨拶して、直ぐに打ち解けることが出来た。


 見ると、レスターはポツンとしている。


(あいつ……)


「レスター、昔馴染みなんだろ?仲良くしようぜ」


 途端に、レスターは顔が緩んで喜んだ。


「ああ」


 その時に、昨日の神官服を着たじいさんが、ヴァㇽ隊長のもとの転がり込むようにやって来た。


「大変ですぞ!! ヴァㇽ隊長!! 闇黒竜が現われました!!」


「闇黒竜!?」


 一同はどよめいた。


「闇堕ちした竜族の事です。竜族は、本来光の眷属なのです。魔族によって暗黒の力を得た竜がサセット山の麓に、現れて暴れているとの連絡がありました」


 リリエラ姫が、エリクト呼んでいた神官長は、非常に焦った様子で伝えてきた。


 俺は――――(凜の仕業か……)と、額に汗が浮かんだ。


 そして、真っ先に手を上げた。


「俺が倒してきます」


 再び、どよめく一同。


「レイモンド、君が東方帰りの魔法使いでも、闇黒竜は手強いぞ」


「大丈夫なんで、俺、無敵のようですし」


 俺は、母ちゃんの持ってた『光の国より愛をこめて』の世界に出てくる竜族の特徴を並び立てて、神官長に言った。

 それは合ってたらしくて、「それでも行ってくれるか?」神官長は俺の目を見て言ってきた。


 俺も大真面目に、頷いた。


 だが、ここで騎士隊長のヴァㇽが、待ったをかけた。


「まずは、偵察だ。様子を見に行ってこい」


 そう言って、騎士達を見渡して、レスターのところでふと視線を止めた。


「レスター・ウィレム、確かお前は、火の魔法使いだったな。レイモンドは、精霊を連れていないから、どの属性か分からない。いっしょに行ってやってくれ」


 レスターは、嬉しそうに微笑んだ。


「はい! 頑張ります」


 俺としては、早く元の世界に戻りたいんで、この機会に倒したいんだが……。

 俺は、ハッと思い出した。

 これは友情編だとか言ってたな? ……てことは、レスターと友情を育めないと帰れない訳で――


 今度は俺から、レスターに声をかけた。


「おい、レスター! 早速出発だ」

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