第2話  俺の名前?

「ありがとうごさいます」


 村娘風の女に礼を言われた。

 これは見事な金髪巻き毛で、俺のよう黒髪直毛とはと違う。おまけに青い瞳が透き通るように澄んでいて、まつ毛もバサバサに長いし、鼻筋も整った滅多にいない美人だ。

 これが村娘なら、この世界の顔面偏差値は余程高そうだぜ。

 ――――と思ったが、娘といっしょにいたじいさんの顔を見て、前言撤回させてもらうぜ。――――じいさんは普通(でも変!!)のじいさんだったからだ。禿げて、額が広くなってしまったであろうが、灰色の髪を伸ばし、後ろで三つ編みにしていたんだ。(何もんだ~~?)

 しかも良く見ると、娘の方は、市民が着る服みたいなのに、じいさんの方は、昔見たアニメの司教みたいなのが着ている服を着ていた。


「姫様、近付いてはいけません。何者だ!?」


「あら、エリクト大神官。悪い人には見えませんわ。私たちを助けてくれたのですもの」


「はっ。リリエラ姫の仰せのままに」


 大神官と呼ばれた禿げじいさんは、娘に跪いたぞ。


「改めて、お礼を言いますわ。危ない所を助けて頂いて有難うございます。わたくしはこのアルデバラン王国の王女、リリエラ・エセル・バランですわ」


 王女が、村娘をを装ってたわけね。


 その時に、俺の頭の中で声が聞こえた。


《レイお兄ちゃん!!》


「??別に……助けた訳じゃあ……俺の名前……が多分レイって呼ばれてた気がするんだ」


「レイ様ですか。でも、お受け下ところ風の精霊も連れていないのに、飛行なんて高度な魔法を使いこなせるのですね。それにそのお姿は……どこかの国の神殿で、儀式でもございましたか?」


 リリエラ姫に言われて気が付いたけど、俺は見慣れてる格好をしてるだけだぞ。グレイのズボンに紺色のブレザー。紺色のネクタイは通っていた学校のものだ。――――少しずつ思い出してるぞ。


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