3:復元す(2023.4.22.)


 私は、アルバムが入っていたダンボールをひっくり返し、叩いた。二重底の奥に、半分に折れた茶封筒が張り付いている。中は、破れても大事な、古い写真の切れ端群だ。


 ビンゴ!


 自室に場所を変え、私はピンセットを準備し、スキャナで取り込む前提で、写真の復元を試みる。ジグソーパズルをすること数分、切れ端は、写りのすこし甘い親子三人の写真になった。


 よしよし。接続箇所や、ピントも改善すべく、写真をスキャンし、PC上の画像アプリで詳細の位置修正と補正を行う。

 アプリ恐るべし、ぐっと画像が鮮明になった。5歳位の弾ける笑顔の少年が、両親と手を繋いでいる。右手を繋ぐのが、若い時分の祖父の和幸だから、間違いない。少年は父の寿和だ。が?

 顔の造りに、喜びの感情を吹き込むと、確かにこうなる。が、もはや、別人レベルである。


 この父だけでも驚きなのだが、左手を繋ぐ臨月の女性に、さらに私は衝撃を受けた。会ったことのない早逝した祖母の寿とは、似ているどころではなく、他でもない…私だ。


 思わずのけぞり、派手にやらかす。背にある本棚からの書類の束の洗礼。そして、現在作業中の一式は滅茶苦茶だ。写真は落ちて切れ端に戻り、スキャナは倒れ、アプリは-固まるレベルを通り越し、PCのOSのあの嫌な画面だ。画面も私も真っ青だ。


 とりあえず、一番時間を食いそうなやつからだ。

私は、PCの電源を長押しした。

はああー、リセット。



RESET⏎


 その途端、一帯が閃光に包まれ、切れ端が、破られる前の写真に復元される。え?写真がリセット?

愕然としたのを最後に、電源が切れるがごとく、プツッと私の意識は落ちた。

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