第6話

 メリィちゃんが構って欲しい不機嫌ポーズをしだした時の対処法。それは────向こうが参るまで、褒めて褒めて褒めまくることだ。


 現実でやるなよ。恐らく、顔を合わせてだと俺が絶対に言えないし、恥ずかしさがMAXまで天元突破したメリィちゃんからのグーパンが目に見えている。通話しながらできる荒業だ。


 俺はこの作戦で五回くらい乗り切っている。効果はある。


「うみゅぅぅ……みぃくんがたらしだよぉ……褒め殺しだよこんなの……」


「失礼な。俺は思ったことを素直に、正直に、口に出していることで、たらしとかそんなんじゃない」


 第一、こんなことメリィちゃんにしかやらない(キリッ)。


「それがたらしなの!お願いみぃくん!これ以上私をきゅんきゅんさせないで!キュン死しちゃうよー!」


「うみゅー!!」と謎の可愛い言語をあげながら怒るメリィちゃん。なんでこの子こんな可愛いんだろうな。誰か証明してくれない?


 さてさて、そんなやり取りをしていたら時刻は既に夜の十一時。メンテナンス、長かったなーと思いつつ、アプリを立ち上げる。


 普段なら解散している時間だが、本日は金曜日。つまり────明日は土曜日なので、徹夜でゲームができる。


 さぁ、俺達の時間だぁ!!起動しろ棒人ゲー!俺達に新しくなった棒人ゲーをさせてくれ!!


 メンテ終わりなため、数々のプレイヤーたちがログインをしようとしているため若干重い。


 五分ほど待ち、見慣れたプレイヤーホームに己の分身であるキャラが現れ、すぐ隣にメリィちゃんの棒人間が現れる。直ぐにパーティー申請をしてからボイチャを繋ぐ。


「あーあー……もしもーし。聞こえる?みぃくん」


「感度良好。バッチリ聞こえるよ。俺の方は?」


「同じく!さてさて!ゲームの通知を見よう!」


 メニュー欄を開き、運営からのお知らせをチェックし、『メンテナンス終了のお知らせ』と表示されているバナーをダブルクリック。


 さてさて、新たな追加要素は何かなーと……お?


「第五弾大型アップデートのお知らせ……?」


「つまり、新しい新マップが開放される……ってこと!?」


 ジャジャーン!と豪華な感じで装飾されている大型アップデートの告知。その事に、ふつふつとワクワク感が胸の奥からせり上ってくる。


「確か、前回のアップデートが『新天地開拓』だったよね?」


「そうそう。今まで開拓が進んでいなかった大陸の調査をするやつね」


 第四弾大型アップデート『新天地開拓』。メニュー画面の世界地図を開いたら、今まで雲に隠されていた新しいマップ及び、ストーリーが追加されたコンテンツだ。


 新モンスター、新しいダンジョン、レベルキャップ解放と様々な要素が俺達スティックゲーマーのドキをムネムネさせたのは記憶に新しい所である。


 当然、第五弾大型アップデートの期待もより高まるわけで………あ、琥竜の雄叫びはただのアップデートコンテンツだから、大型では無い。一応ね。


「新マップ、新ダンジョンに……何これ?前日に発表?」


「ん?」


 メリィちゃんが困惑した声を出したので、期待に胸を馳せるのもほどほどに、俺もマウスを操作して下にスクロールしていく。


 ……確かに、なんか『???』って表記されてんな。何これ。


 新コンテンツ『黄金の門出』は二週間後に実装ね………え、二週間後!?


「……やっべぇ……すっげぇ楽しみ……!」


 心が震える。今まで、数多のゲームに手を出し、攻略をしてきたがアップデートと聞くだけでこんなに楽しみなのは、スティックヒューマン・オンラインだけだ。


 レベルキャップ解放の宣言がされたことにより、これから余剰経験値というものが追加される。これは、レベルを超えて手に入れた経験値を、開放された時にそのまま経験値として使えることが出来るのだ。


 ガチな人は、レベルキャップ解放されると同時に、レベルキャップまで到達するという猛者がいる。まぁ、俺達のことなんですけどね!


「よーし!今日はやれる限りレベリングだー!」


「おー!目指せ!今回もレベルキャップ解放と同時に最大レベル到達ー!」



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