第3話
「一緒に頑張ろ~な~?大丈夫大丈夫!琥竜とまではいかないけどそこそこ高難易度だから経験値効率もいいし、お前もエリクサー沢山作れるからお得だろ?」
「お前の『そこそこ高難易度』は、俺たち一般プレイヤーにとってクリア激ムズの高難易度だ!お願いだからもうちょっと自分がトッププレイヤーだってことを自覚してくれ!」
「そうか?モン〇ンで例えるならジン〇ウガ亜種くらいだろ?」
「充分ミラ〇レアスなんだワ」
えー、そこまで言う?いや、まぁたしかに俺は他のプレイヤーとは違って特別な武器を持ってはいるが。
「お願いします充様……どうか……どうか素材収集だけは……っ!」
「………そんな嫌?」
「嫌」
そ、即答……。なんで?素材収集楽しいじゃん……。
「────ってことがあったんだけどさ。どう思う?」
「あはは……流石にちょっと同情しちゃうかな……」
「うっそー……」
学校も終わり、高速で家に帰ってから棒人ゲー(スティックヒューマン・オンラインの略称。棒人間のゲームだから)を開き、メリィちゃんを待つこと数分。今日の昼休みのことについて話すと、微妙な反応が帰ってきた。
「でも、メリィちゃんも素材収集好きでしょ?昔とか永遠にやってたもんね」
「好きだよ?好きだけど、みぃくんのははっきりいってヤバイよ?普通の人はね、エリクサー素材集めるためだけに15時間ぶっ続けで同じダンジョンに潜ったりなんかしないよ────みぃくん、今エリクサー何個持ってるの?」
「今?今は……」
マウスを操作して、バッグを開く。ショートカット欄にエリクサーは常備させてあるのだが、ポーチに入っているという設定からな、MAX表記は10までである。
「………大体80個くらいか」
「そんなに持ってる人いないからね?ポ〇モンで例えるなら、色違い30匹くらい持ってるのと変わんないからね?」
「……い、いやいや。さすがにそれは誇張表現でしょ」
「全然誇張じゃないから。みぃくん、エリクサーを作るために必要な素材のドロップ率。調べてみてください」
「お、おう……」
スマホを取りだして、ネット検索欄に『棒人ゲー エリクサー 素材ドロップ率』と入れて検索をする。
エリクサーとは、棒人ゲーで手に入れることが出来る、最上級の回復アイテムである。
普通の回復アイテムであるポーションだったら、回復までにタイムラグが存在するのだが、エリクサーは消費した瞬間に、体力とMPが全回復し、更には戦闘を有利に進めれるようなバフ効果が幾つも付くという、高難易度ダンジョンに挑む際は必須と言えるだろう。
そんなエリクサーを作るためには、全高難易度ダンジョンから共通して落ちるドロップ品である『オンシジュリの花蜜』『デンドロビームの角』を調合して作る。
さてさて、あんまりドロップ率とか気にしてなかったけど、果たして────んん????
「1ぱーせんと……?」
「私が言ってること、分かった?」
「………いや、色違いは8192分の1だから」
「今は4096分の1だよ!」
ぶっちゃけ言うとあんまり変わんないよ!確かに今はでやすくなったと思うけど!サンドウィッチ食べないと無理じゃんあんなの!
そのあともワーワーギャーギャードロ率に対するうんぬんかんぬんを言い合いながらも、本題であった琥竜クエストに突入。
勿論、その日の攻略は失敗したことをここに示す。
「ばたんきゅー……」
「や、やっぱムズくね?このクエ……」
昨日クリア出来たことがマジ奇跡に思えてきた。昨日の俺たちどうやってクリアしたんだよ……。
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