第2話
「充!昨日はよくやったな!」
「はよ、在原。それとさんくす」
俺の名前は
そして、今先程俺に声を掛けてきたのが、ゲー友である
スティックヒューマン・オンラインとは、名前の如く棒人間を己の分身とし、操作するMMORPGである。
最初は、操作するキャラが棒人間でということが斬新すぎて、「なにこれ?」的な感じでゲーマー界の中で囁かれていたが、いざ蓋を開けてみるとかなりの神ゲーであった。
通信障害はほぼナシ。ラグも無く、ストーリーも面白い、グラフィックも棒人間以外は超綺麗という謎バランスにより、大人気となった。
完全レベル制、課金要素はほぼ無し。ガチャもなく、装備品は全てモンスターからのドロップオンリー、そして運営の神加減から、絶大な支持を得ている。
課金要素と言えば、ちょっとしたアイテムとか、ドロップが良くなるバフくらい?本当に、よく運営回していられるよな。もうサービス開始から五年経ってるんだぜ。
「羨ましいなぁ。コンビを組んでる相方がいて。野良じゃ琥竜なんてクリア出来ないよ……」
「当たり前だろお前……。俺とメリィちゃんでさえ何回挑戦したと思ってるんだ」
連携だったらこのゲーム1と言われている俺らでさえこんなに苦戦したんだ。野良じゃ無理に決まってるでしょ……。
難易度調整待ってます運営さん。
「俺と、お前でボイチャ繋ぎながら行っても無理?」
「無理。在原まだレベル140だろ?レベルキャップまで上げてから言ってもろて」
現在のレベルキャップは150まで。せめてそこまで欲しいよな。まぁ連携の質が違いすぎてそれでも無理だとワイトは思います。
あのクエ。適正レベル130とか言ってるけど絶対に無理だから。
このゲームは完全レベル制と謳ってはいるが、普通にプレイヤースキルも影響するからな。行くとしても、失敗前提になっちゃうからな……。
「この廃人め」
「ガハ」
ごめんな。それは褒め言葉にしかならないんですわ。
昼休み。弁当を速攻で胃袋に書き込んだ俺たちは、現在スティックヒューマン・オンラインのホームページに上げられる、昨日のMVSの動画を見ていた。ちなみに、モスト・ヴァリアブル・スティックヒューマンの略な。
これの更新時間は、昼のため、学校ではこれを見るというルーティーンが出来上がっている。
「やっぱ載ってんなぁ。予想通り」
「昨日めちゃくちゃ頑張ったからな。逆に載ってないと困るというか……」
上げられている動画を再生する。視点は……俺のか。ラスボスである琥竜との戦闘画面が切り取られていた。
落ち着いているからこそ分かるというか、あの時はいっぱいいっぱいだったから気づかなかったというか、こうして見ると、新たな気づきもあるというものだ。
あ、ここちょっとチキってる。もうちょい早く攻撃できたろ。
「きっも。何だこの完璧な連携……」
「ボイチャしてるし、何年組んでると思ってるのよ。これくらい朝飯前────あ、別にここ違う魔法で良かったな」
「は?まだ研究すんの?」
「当然」
ここから更に効率化していくのが楽しいんでしょ。RTAと一緒一緒────お、メリィちゃんからLI〇E来た。やっぱそうだよなそこもうちょい詰めれたよなぁ。
『今日また行って確認する?』
『するー!』
何だこの生き物。文字だけで可愛いとか反則だろマジで。
「………はぁ。いやマジで感嘆のため息しか出ねぇ。流石は『双棒』だな」
「やめろ。その二つ名は俺に効く」
スンッ、と真顔になる。
双棒。俺とメリィちゃんがコンビで様々なクエストを攻略しまくり、いつの間にか付いていた俺たち二人を表す二つ名。マジでだせぇ。しかもこれ、公式公認なんだぜ……?
本当にだせぇ。これ聞いた時、メリィちゃんも「えぇ……」って引いてたからな?
だって……ねぇ?双棒て。他のトッププレイヤーと比べたからクソダサだよマジで。他の人はさ、『明鏡』とか『一刀』とかクソかっこいいのに。当時は二人揃ってガチ凹みし、二日間くらい慰めあったのも懐かしい記憶である。
今?今はもう諦めたよ。
「……いや、マジでえぐいわコレ。流石充様みぃ様双棒様って感じだわ」
「ぷっつーん。はい君は今地雷を踏みました。明日はドキドキ!エリクサー素材収集引き回しの刑な」
「すみませんでした!それだけは勘弁してください!」
諦めたとは言ったが、弄っていいとは一言も言ってねぇんだわ。大人しく俺の収集に付き合ってくれや。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
始まるんだ。俺たちのこえよめが……!
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