第3話
お狐さまたちが何を言っているのかよく分からなかったが、誰か偉い人に会うようにと言われていることは分かったので、少女は「はい」と返事をした。すると、右側の巻物をくわえたお狐さまが、台座からひゅるりと飛び降りて少女の目の前に立ち、巻物を少女に渡した。お狐さまたちに促されて鳥居をくぐると、天まで続いているんじゃないかと思われる白い鳥居と石階段が夜闇の中に出現した。どうしたらよいものか、と少女がためらっていると、遥か頭上から、
「上へ」
という言葉が聴こえてきた。
先ほどのお狐さまたちに尋いてみようかと少女は思ったが、確かに存在した筈の鳥居とお狐さまたちは消え去っていた。少女は覚悟を決めて一歩一歩上へ上へと歩みを進めた。上空に近付くにつれ、濃い霧が立ち込めて視界が悪くなってきた。空気が薄くなり、息が苦しくなった。もしかしたら、お狐さまたちに騙されたのかもしれないと思い何度も引き返そうと思ったが、少女が一段上るごとに背後の階段が消えていってしまうのだから、引き返すこともできない。もはや、夢か現かも分からなくなっていた。
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