第2話
ひとりの衰弱した少女が、街燈ひとつない暗がりの中を歩いていた。少女は家を飛び出して、あてどもなく、ただひたすらに歩いてきたので、自分がどこを歩いているのかさえ分かっていなかった。少女の心は限界だった。学校ではクラスメイトにいじめられ、家に帰れば母にぶたれたり、蹴られたりするのだった。少女は望まれてこの世に生まれてきた子ではなかったらしく、母の口癖は「オマエなんて産まなきゃ良かった」だった。
「そうか。ならば、消えてしまおう。どうせ、わたしは要らない子」
少女は決心した。
どれくらいの時間歩いていたのだろう。意識が朦朧とする中、どこからともなく丑三つ時を知らせる笛の音が聴こえてきて少女の眼前に白い鳥居が姿を現した。鳥居の両端に座っている赤い前掛けをつけたお狐さまたちが、手招きをしている。
「あらあら、久しぶりのお客様ぞな」
少女から見て右側のお狐さまが言った。
「こりゃ相当参ってるようじゃのぉ、可哀想に」
左側のお狐さまが言った。
「
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