第2話 原作主人公

 部屋から出ると、銀髪で同棲している幼馴染が立っていた。


 名は、月館楓。原作では本名が不明だった俺、『統禦』の上司である『月影』だ。能力は力操作、力を操ることができる能力だ。


「今日の用事は何だっけ?」


 俺は、自宅の廊下を歩きながら隣を歩いている幼馴染に聞いた。俺は、今日の予定なんか覚えていない。


「はぁ、ほんとあなたはそうですよね。直さないといけないと思っているんですか。」


「思ってなんかいないよ、俺には君がいるからね。」


「はいはい。はぁ、今日の予定は歩いて10分のカフェね。」


「わかった、カフェね。」


 此処で言うカフェは月輪の関連の施設への入り口がある場所の中でも表向きはカフェとして運用されている場所で、ここらへんだと知る人ぞ知る名店という感じだ、いや、メニュー表記とマスターから考えると迷店になるのか。


 俺と彼女は他愛のない会話をし「行ってきます。」と言って少し広い家から出た。


 そして、家から出るタイミングは隣の家の、妹的存在で推しで原作主人公の結浜シオンと同じだったみたいだ。


 俺たちの存在に気が付いたシオンは、陰りのない満面の笑みでこちらにそのきれいな金髪をたなびかせてこちらに向かってきた。


「おはようございます。花月兄さん、楓姉さん。」


「あぁ、おはよう。シオン。」


「おはようございます。シオンさん。」


 俺たちの前まで歩いてきたシオンは少しお辞儀をしてそう言った。

 そして、俺は今日の日付と原作の知識から今日がシオンと俺が初めて戦い、俺が捕まる日だということを思い出した。


「すごいね、シオン。期待の新人隊員としてテレビ番組で取り上げられるほどじゃないか。」


「えへへ、ありがとうございます。」


 褒めるとシオンは頬を赤らめて喜んだ。その様子は、まさに天使だが、その様子を眺めていると隣にいる楓に思いっ切り脛を蹴られた。痛い。


「あ、私はこれから仕事があるのでこれで…」


 気まずくなったのかシオンは、急いだ様子で去っていった。


「ほら、行くよ。早くしないとマスターに絞められるよ。」


「あぁ、そうだった。急がないと。」


 俺と楓は少し早歩きをしながら目的地へと向かい、clauseとなっているいかにも個人経営らしいカフェの扉を三回ノックし一秒経ってから四回ノックすると中から、ガチャリ、と音がし俺と楓は俺が扉を開けて楓の後に俺が入った。


「やぁ、二人とも。例のブツはできているが、それより前に一つ頼みたい。それは、例の新人二人の対人能力の調査だ。」


 カウンターに一人の白衣を着た白髪ポニテの女が座っていた、がここのマスターではない、彼女は『博爵』、『月輪』の幹部の一人で発明家。そして、能力は能力付与、他人の能力を一時的に他の人に使えるようにしたり、物質に付与するとその能力の力を使う物質ができるという優れもので、『月輪』の基本装備である27電磁式拳銃と28電磁式小銃は彼女が作った装備である。


 そして、彼女からのミッションは原作だと俺が倒されるミッションであった。

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