お風呂

 朝陽がヤンデレストーカーを通報していない理由は至極単純。

 創作に出てくるようなベタベタなヤンデレの癖に、ドジっ子で彼女の行う一挙手一投足が見てて面白いから。

 そして、自分の雑用係に便利だからである。


「ふんふんふーん」


 ヤンデレストーカーが覚悟を持って告げたお風呂に私も入る発言。

 それを少し悩んだ後にあっさりと了承した朝陽はそのまま何の躊躇もなく全裸をヤンデレストーカーへと晒していた。


「お、おっきくならない」

 

 全裸の朝陽に対して、流石に恥ずかしかったのか、タオルを巻いてお風呂へと入ったヤンデレストーカーは彼のとある部分に触れながら呆然と声を漏らす。


「ちゃんとそこもきれいにしてね?」


 バスタオルを巻いただけの女の子に対して。

 彼女のことをストーカー行為をしている犯罪者ではあるが面白くて便利な奴としか認識しておらず、これっぽちも異性として認識していない朝陽は一切興奮することなく自然体でされるがままに体を洗わせている。


「は、はひぃ」


 これだけのことをしていながら、それでも謎の羞恥心を持っているヤンデレストーカーは朝陽のブツを丁寧に洗っていく。


「……これでも、おっきくはなっていないんだ」


 ちなみにではあるが、朝陽の身長は決して大きいとは言えない。

 だが、とある一部分に関しては別。

 男の中で最も大事な部分とも言えるそこは、彼の童顔に低い慎重に見合わず非常にビックでズル剥けだった。


「ふぃ~」


 最初は自身の全裸を使って朝陽の身体を磨く予定であったヤンデレストーカーは、ここにまで来て羞恥心が来てしまい、結局のところ大したことは出来ていなかった。


「ふんふんふーん」


 そんなこんなで一切、男女二人でお風呂場にいながらエロイ雰囲気にはならなかったこの場で朝陽は気持ちよく湯船につかっている。


「……ぁぁぁぁぁ」


 そんな中でヤンデレストーカーはただひたすらに、湯船へと浸かることもなく自己嫌悪をしていた。

 何故、ここまで来て勇気が出せないのかと。

 何故、彼に向けて自分の無駄に大きなおっぱいを近づけられなかったのかと。

 何故、自分は頬を赤らめて俯いているのだと。


「それじゃあ、僕は出るから」


 そんなことをヤンデレストーカーが考えている間に湯船から朝陽が出る。


「あっ!待って!」


 そのままお風呂場から出ようとする朝陽を追いかけようとしたヤンデレストーカーは立ち上がり、


「……ぁ」


 そのまま泡でヌルヌルになっていた地面に滑って宙を舞う。


「ふぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」

 

 そして、そのままヤンデレストーカーは頭を思いっきり地面に叩きつけて気絶してしまった。


「ふんふんふーん」


 お風呂場で頭を打って気絶してしまったヤンデレストーカー。

 そんな彼女に目もくれることなくお風呂場を出た朝陽は鼻歌を歌いながらバスタオルへと手を伸ばすのであった。

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