お世話
太陽が快晴の清々しい青空で輝く。
そんな真昼間に三か月という長い長期休暇を楽しむ朝陽はゲーミングパソコンを開いてゲームをしている最中であった。
「おい、喉乾いた」
そんな朝陽は一言呟くと共に口を静かに開ける。
「はい、あーん」
それに対して、当たり前のように朝陽の隣に立っていたヤンデレストーカーが彼の口元へとストローのささったグラスを運ぶ。
グラスの中に入っているのは朝陽の好物であるりんごジュースだ。
「んっ」
リンゴジュースで喉を潤した朝陽は口を再び開き、それを受けてヤンデレストーカーがそっと腕を動かして彼の口元からグラスを離す。
「……ふへへ」
ヤンデレストーカーのことをこき使いながらゲームを頼んでいる朝陽。
そんな朝陽の横顔をヤンデレストーカーは眺めながら、だらしのない笑みを漏らしていく。ただ、横顔を見ているだけ。
それだけでヤンデレストーカーは満足であった。
「んんっ」
時間にして数時間ほど。
ようやく朝陽はゲームを終わらせ、ゲーミングパソコンをシャットダウンさせる。
「あぁぁぁぁ、飯は何にするか」
「んしょ、んしょ」
座っていたゲーミングチェアから立ち上がってすぐ、近くにあったベッドへと転がった朝陽は今日の晩飯について頭を悩ませる。
そんなことをしている朝陽の上にはヤンデレストーカーが跨り、一生懸命彼の体をマッサージしている。
「あっ……すぅ、はぁぁぁ。朝陽くんの匂い。あぁぁぁ、それに熱いよぉ。朝陽くんの体温、うぁ」
頬を赤らめ、その口から涎を垂らして発情しながら。
「もういいよ」
ある程度のマッサージをさせ終えたところで朝陽は立ち上がり、ヤンデレストーカーをどかす。
「飯は後ね。先にお風呂に入りたい気分」
ベッドから立ち上がった朝陽はヤンデレストーカーの方に目もくれることなく淡々と言葉を告げる。
「うん、わかった」
それにヤンデレストーカーも素直に頷く。
ただのストーカーでしかない彼女は朝陽の家で晩飯を食べることを半ば当然としている態度であった。朝陽もそれを了承しているのだが。
「それじゃあ、お風呂入ってくるから……変なことするなよ?」
「あ、あのっ!」
「ん?」
お風呂に向かおうとした朝陽をヤンデレストーカーは勢いでもって呼び止める。
「お、お、お」
「……お?」
「お風呂に私もついて行っていいかな!?わ、私が朝陽くんの全身を隅々まで洗ってあげるよ!」
そして、ヤンデレストーカーは頬を真っ赤に染め上げながら叫ぶ───一緒にお風呂入ろう、裸を見たいのだと。
「……はぁ?」
そんな彼女に対して朝陽は疑問の声を返すのだった。
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