天照大神と動物たち

グイ・ネクスト

第1話 モグラの秘密

日本のどこかの森に、動物たちが集まり、お祈りをしている。

鹿、ウサギ、キツネ、モグラが集まってお祈りしている。

「アマテラスオホミカミ、アマテラスオホミカミ」

ただそう唱えている。

すると七色の光が集まり、輝き、白い光となる。

モグラだけはびっくりして地面の中へ隠れてしまう。

鹿とウサギとキツネは天照大神様に感謝を述べて、それぞれの生活へ戻っていく。モグラはまた感謝を述べる事ができなかった。

どうせ自分は、地底で暮らすモグラなんだもの。

暗闇こそボクの主人だ。眩しい光で照らす天照大神様なんて嫌いだ。

モグラはふてくされてしまう。

その次の朝、モグラは同じようにお祈りに来ていた。

「アマテラスオホミカミ、アマテラスオホミカミ」

同じように七色の光が集まり、輝き、白い光となる。

モグラは再び穴の中へ。

ああ、今日も駄目だった。どうしたらいいんだ。どうして嫌いになれないんだ。

わからない。心が求めているのは何故なんだろう。

・・・・・・・

その次の日、モグラは来なかった。熱を出してしまったのだ。

「ああ、ボクはとうとうこんなところで死んでしまうのか?」

とても弱気になっているモグラ。

それでも天照大神様の呼び出す言霊を唱えた。

「アマテラスオホミカミ、アマテラスオホミカミ」

心地よい白い光を地下にいながらモグラは見た。

「地下にいながら光を受け取りなさい。そのままでいいのよ」

「っつ。あ、ありがとうございます」と、モグラは涙を流しながら答える。

それからモグラは地下で言霊を唱えるようにした。

森の集まりにも顔を出して、すぐに地下に潜って唱えるようになった。

モグラはモグラで良かったのだ。

モグラはモグラとして地下で白い光を受け取れば良かったのだ。

モグラは「天照大神様、ありがとうございます」と、地下で白い光を受け取り、感謝するようになった。

ある朝、鹿とウサギとキツネに聞かれる。

「モグラどん、お祈りしたあと、すぐに地下へ潜っておるが、どないしとると?」と、キツネに聞かれた。

「それは天照大神様とボクとの間の秘密だよ。」

「教えてくれてもよかろう?」と、ウサギに聞かれた。

「ダメダメ、教える事はできないよ。」

「ふーむ。モグラどんは地下で感謝しておるのか?」と、鹿に聞かれた。

「まあね。ヒントを上げるなら、天照大神様は地下にも居られるという事さ」

「「「へえ〜」」」と、不思議がられた。

モグラは秘密を抱えて、お祈りの後、地面へ潜っていった。

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