第七話 写真

「せっかくだからウヌプラスで撮らない?いい場所ありそう!」

「お、いいじゃんそれ!西園寺もたまにはいいこと言うなあ」

「なにそれー、いつもいいこと言ってるし。」

「先輩方!いちゃつかないでください!」

「「いちゃついてない!」」


 流れに負けて今に至る。現実では年上になるとはいえ、高校生のパワーすごい。

「エミちゃん、何かごめんね。」

思わずエミちゃんに謝ってしまった。

「ううん、たのしいからいいよ!それに、うぬぷらすにも行くっていってるみたいだよ。」

「え、あ、そうなの?」

全然話聞いてなかった。丁度行こうと思っていたから良かったが。

「おかあさん、いるといいなあ……。」

 エミちゃんが少し、寂しそうな表情をしていた。“楽しい”と“会いたい”はやはり別物っていうのがよく分かる。

 よし、とりあえずエミちゃんに麦茶を少し飲ませよう。脱水症状になってしまったら元も子もない。

 そうしてエミちゃんに麦茶を飲ませてから、五人でウヌプラスへ向かった。


「はいじゃあ撮りますよー!三、二、一、」

パシャ。

「はい、ありがとうございます!」

 写真を無事に撮ってもらったエミちゃんは、わくわくした様子で部長さんに聞いた。

「おねえさん、わたしどんなかんじになった?」

「エミちゃんすごく可愛いよ! 笑顔がキラキラしてる。」

「ほんと? ありがとう!」

 エミちゃんのエンジェルスマイルが炸裂し、写真部員たちの心を射抜いた。

「「「実物も天使っ!!!!!!」」」

「いやなんであんたらもくっつくの……。」

「「エミちゃんが天使だから」です」

 それにしてもこの三人仲良しだなあ。エミちゃん単体で撮ってもらって良かったかも。


────────────────


「え、親御さん映らなくていいんですか?」

「はい。本人は楽しいみたいなので、エミちゃんだけ撮ってあげてください。」

「そうですか……。了解しました。コンクールの写真はエミちゃんだけ映しますね!」


────────────────


 部長さんがいい人で良かった。他の二人もいい人だけど。高校生だったらこの写真部に入りたいくらいだ。圧には負けてしまいそうだが……。

 あれ? ところで何で保護者じゃないのにエミちゃんの撮影許可してしまったんだろう? 令和だと肖像権とか色々で言われかねないかもしれないが、平成だしまあ大丈夫か。多分。


「先輩方、コンクール関係ないの撮っていいですか?」

ん? 部員さんたちが話している。

「お、どんなの撮りたいんだ?」

「エミちゃんと親御さんのツーショット撮りたいんです! 実は今日チェキ持ってきてて……。」

「「松田、お前天才」」

え???? 何で????

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