第三話 相違
とても暑くて、頭がおかしくなりそう。でも自分の頭はおかしくなく、時間がおかしくなっていた。こうなれば元に戻る方法を考えなければならないが、今はエミちゃんのお母さんを探すことに専念しよう。
でも、暑い! とても暑い! 十五年前ってこんな暑かったか? もうこれは限界がある。すると、交番の向かい側にコンビニがあることに気が付いた。二〇二二年ではもう見かけない、“サンクス”であった。丁度いい。懐かしさと暑さ回避のため、エミちゃんに聞いた。
「エミちゃん、あそこにコンビニがあるから寄っていかない? 高すぎるのは困るけど、好きなものを買ってあげる。」
「いいの? ありがとう! アイスたべたい、アイス!」
「はいはい、じゃあ行こうか」
エミちゃんはジャンプし、とても喜んでいた。さっきまで暑さとはぐれた悲しさで元気と体力が無くなっていたが、すっかり元気になったみたいだ。
そうして横断歩道を渡り、サンクスに入る。やはり涼しく、何より懐かしかった。
「フジサワさん、これがいい!これたべたい!」
「フジサワさんは、これが良いと思っているわけじゃない、よ……」
エミちゃんが選んだのは二つに分けることが出来る、あのアイスのホワイトサワー味だった。
「フジサワさんが、わたしのおかあさんを探してくれているおれい! いっしょにたべよ。」
何て、心の綺麗で美しい子……! こちらが親御さんにお礼を申し上げたくなるくらいだ。
「うん、ありがとう……じゃあ買ってくるね。」
そう言って、レジで会計を済ませようとした。が、あることに気が付いた。
(待ってこれ、平成二十年以降のやつは使えないのでは…?)
平成のやつならまだいいが、令和の百円玉とか出してしまったらどうなるのか。いろいろ考えると怖くなったが、とりあえず財布を確認してみる。
えと、平成十年の五百円玉が何故か二枚、百円玉は平成一桁、十円は全部昭和。奇跡的すぎるくらいに金が使える。よし、これで心置きなくレジに行ける! そうしてレジでアイスを店員に渡した。
「えー、お会計一〇五円になります。」
え? こんなに安かったっけ? 値上げでとても高くなっている令和とは大違いだし、あと……
消費税が五%だ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
この世界、最高……かな?
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