第21話 ZANGYAKU GIRL
「焼却魔法、
煙が舞い、あたりにある石造の瓦礫が崩れる音が通りだった場所に鳴り響く。
「う、うう…」
俺は弱々しい声を挙げながらも、木片の散った通りに立ち上がった。
「ブランチくん、大丈夫?」
俺はレレントレスさんの声に、「一応…」と答えた。
レレントレスさんは、どうやら子供を簡易的な魔法で守っていたらしい。
そのせいか、レレントレスさん自身は、とても、傷だらけで、頭からは血が垂れ流れている。
「そう!よかった!」
とレレントレスさんはにっこりと笑ってみせると、「ブランチくん。」と俺の名前を呼んだ。
「この子を、安全な場所に避難させてくれる?」
レレントレスさんは、しゃがんでいた状態から立ち上がり、親指を立てて「大丈夫!」と言うように、白い歯を見せながら、「私が足止めしておくからさ!」と言った。
「え、でも…」
「早く行って!子供が危ないから!」
俺は下唇を噛みながら、「はい!!」と答えると、すぐに子供を拾い上げて、土埃の中を全速力で、突っ走っていった。
「はあ!はあ!はあ!!」
早く!!!マースさんを!!
スカイオムニバスを利用したからか、大分、遠くではあるだろうが、魔王城へと連絡する手段なら、この街のどこかにはあるはずだ!!
子供の手を見ると、さっきまではなかった指が生えていた。
これは多分、高等治癒魔法、「
これを使うのには相当な鍛錬と、体力を必要とする。
そのため、考えられることは、今、あんなに余裕そうに白い歯を見せた、レレントレスさんはとても、余裕なんてことでは無いはず。
急がなければ!!!
そう思うと、足に力が入る。
仕方がない。
「勇者戦闘法!!!
まだまだ、未熟だが、戦地からは一刻も早く逃れることができる!!!
早く!!!!!!
◇
「良いの?男の人の方を逃しちゃって。」
「未来有望だからね彼は。逃すのは当然だよ。」
私は剣を抜くと、相手も、少年を痛めつけたナイフを構える。
「よくも、子供をあんなふうにできるね。」
「絶望する顔は最高に見応えがあるじゃない。そう思うでしょ?」
「私は全く思わないけど」
「あら残念。」
女は一瞬の内に視界から消えると、次の瞬間、私の後ろに再び現れる。
これは、
いや、魔法か…
女はナイフを私の背中に向かって、走らせた。
そして、そのナイフは宙を斬る。
「勇者戦闘法、
女はもう一度、後ろから突き刺しに来るが、私はそれを
「それ、魔法じゃないよね?」
「そうだけど。」
「どういうものなのか、私にも教えて欲しいな!どうせあの男の人には教えてくrんでしょう?」
「敵に教える義理はないね。」
勇者戦闘方、
私は後ろから女に斬りかかるが、女は一瞬の殺意に気づいたのか、私の剣は女の残像だけを裂いた。
「さっきのは?」
「みていた通り、影分身とでもいうのかな。」
私は分身を10体ほど作り出すと、一気に襲いかかる。
「「どれが、本物かわかるかな?」」
女は目を瞑って、その場の透明な空気を吸い込むと、一気に目をカッと開いて、一つの私を剣で斬りかかる。
「クッ!!」
私は剣で攻撃を防ぐと、すぐに、何歩か後ろへ退がる。
「残念だけど、貴女のその攻撃はすぐに見破れるわ。瞳の焦点があってないもの。」
「そういうところでわかるんだね。」
私は剣を胸元に持ってくると、再び、構え直す。
「次はもうちょっとハードにしてみようかな。」
「私の力も何も知らないくせに。すぐに絶望の顔にしてあげるわ。」
勇者戦闘法…
私は女の斬りかかる動作を避け、女の後ろに立ち、剣を振り上げる。
「行かせることはできないみたいだね。」
そのことを言うと、私は剣を思いっきり、振り下ろす。
そして、私は女の背中の肉を裂くのかと思っていると、なぜか、剣はしばらく空を切った後、女の皮膚に触れる事なく、空中にとどまる。
「ど、どういう事!?」
私が何かに押し返されるようにして、剣の動きに違和感を感じていると、女はニヤリと笑った。
「どう?私に向かおうとした剣は当たらないっていうもどかしい感じ。」
「な、なんで!?」
私は一旦、剣から力を抜いて女から距離を取った。
「実は、私のスキル、
「へ!それだけ?」
私は強く笑うと、女は笑うのをやめた。
「それじゃあ、これから見せてあげる。」
「何を?」
「
女は魔法の名前を唱えると、自身の周りにいくつもの電気の槍を発現させる。
もしやるんだったら、どこかの部位にピンポイントで…
「ぶっはぁ!!!!!!」
私は気づくと、口から血を出していた。
の、喉が焼けるように痛く咳をすると、手が真っ赤になった。
「どう?
「え」
「私の
「勇者戦闘法…
私は喉元に手を当てると、魔力を流し、損傷した部分を回復させる。
「そんな治癒系のこともできるんだね。」
「まあね。あんまり、これは見せたくなかったけど…」
「それじゃあ、ここからは本気でいく。容赦はしないよ。」
「私も。」
私は剣に、魔力を流す。
「勇者戦闘法…
「
私と女は、ほぼ同時に、足に力を入れて飛び出した。
私が、剣を振ると、女はナイフを私に襲いかかせる。
そして、私の剣はすぐに、女の近くで止まり、その隙に、女は私の腹のど真ん中に刺す。
が、私はそれを
ここまではまだいい。
私は女の後ろに周り、剣を下から上へと振り上げる。
行ける!!!と思ったのも束の間。剣はすぐに静止し、ナイフによって剣は弾き返された。
「大体わかるよ。貴女の動き。」
私はその言葉を無視し、また、真っ直ぐ前に突進し、地面を蹴り、空中に浮きながら剣を振った。
「空中にわざわざ飛ぶなんて、どうやって避けるのかな?」
勇者戦闘法…
女は、私が斬りかかる前に変わった分身をナイフで全力で突き刺したが、私の分身にあたり、その場の空間が少し歪んだ後、消えた。
「今だ!!!」
私は、
「残念だけど…」
「勇者戦闘法…
私は、持てる力の全て…持てる魔力の全てを剣先に溜め、一気に撃ち出す。
剣先は神々しく輝き、熱を帯びると、何かの大技の魔法のように、一瞬にして、空へ打ち出された。
そして、撃ち出されるとすぐに、衝撃波が周囲に伝わり、土埃があたりを包んだ。
「や、やった…」
「死ね。」
私が、持てる力の全て、つまり、体力の全てを使うと、右耳の無くなった女が、私の腹部にナイフを刺した。
「ああアアアアアアアアあああああああああ!!!!!!頭の右側がとてつもなく痛いいいい!!!!!!貴女…やってくれたわね!!!!!」
目先がクラクラとし始める。
腹部には、何か痺れるような痛みを患い、私はその場に倒れた。
「おい…戦いは終わってねぇだろ!!!!!」
女は私に一歩一歩近づいてしゃがみ込むと、私の長い髪を何本か掴み倒れた私の頭を自身の目線まで、吊し上げる。
髪は何本か千切れ、私は口をへの字に曲げる。
「大層な顔してんじゃねえか!!!!」
「う、うぐうう!!!」
女は私の顔が気に食わなかったのか、ナイフを逆手持ちにして、「お前に最高の地獄を味わせてやるよ…」と、言い、私の左目に浅くぶっ刺した。
「ああああああああああっっぁあっァァァぁぁぁあぁ!!!!!!」
私はその激痛に耐えられず、左目を両手で抑え、その場にうずくまった。
「ハハハ!!!!いいねえ!!!その声が聞きたかったよ!!!!」と女が言うと、私の背中に、ナイフを突き立て、「もっと、叫べ!!」と言って、ナイフをもう一度、背中の中に埋め込まさせた。
背中からは生ぬるい液体が流れる感触と痺れるような痛みだけが伝わった。
「いっだあああああい!!!!!!」
私は右目から涙を流して、背中を空に向けて丸まったまま、顔を両手で覆い隠した。
「どうどう?苦しいでしょう?もっと行っちゃうよ!!」
女はナイフを刺したまま、ナイフの柄を握った感覚が伝わると、今度は、ナイフを私の背中に刺したまま、360°回し始めた。
さらに痛みが広がり、お腹の中にある、大事な臓器が次々と破壊されていくような感触がした。
「あああああアアアアアア!!!!!!いっだああああああああああい!!!!!!お、おがあああさん!!!!!!!!」
「ついにママ?か!!これは傑作ねぇ!!!!!!」
お……があ……さ…ん…
「何をしている…」
この声は…
そして、私が苦しんでいる所に、口を開けたまま登場したのは、ブランチくんだった…
「あ、さっきの男の人!」
「何をしているんだ!!!!!離せえええええええ!!!!!」
「
駆けつけたブランチは女が先程の魔法の詠唱を終わらせると、すぐに、雷は発射された。
「!?」
だが、ブランチくんはなぜか、後ろから迫り来る
「あれ?」
女は一歩下がると、ブランチのことを疑問のようにして思ったらしく、顎を掴んで、考え事をするようなポーズを取った。
そしてブランチくんは大声で「今のは、なんだ!?なぜ魔法が曲がる!?」と言った。
「でも、これで形成逆転か?レレントレスさんは取り返してもらったぞ!!!」
「その子、レレントレスって言うのね。」
ブランチくんは、何か、白い紙のようなものをうずくまっている私の上に乗せると、「後は任せましたよ!治癒班!」と言って、「
ブランチくんが、詠唱をすると、白い紙に描かれた魔術陣が光りはじめ、私を白い光で包んだ。
「が、が…んば…っで」と私は泣きながら言うと、ブランチくんは片方の手を振った。
「よし。怠慢だ。」
「貴方も同じようにしてあげるわ。」
俺は完全に冷静さを失っている女に剣を抜き、構えた。
「スキル…
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