第18話 テルドローム会議

「それじゃあみんな。テルドローム会議を行うとしようじゃないか」


 暗い部屋の中央に置いてある円卓の14番目。


 そこにアーサーは座った。


「それでは、会議を…」


「おい、アーサー!遅れたんだったら一言くらい言ったらどうなんだ?」


「おっと、すまないねラモラック。遅れてしまい、申し訳ない。」


 その言葉を聞くと、ラモラック「ッチ!」と舌打ちをした。


 その一連の流れを見過ごすと、パーシヴァルは始まりの合図を言った。


「それでは、皆さんお集まりのようなので、これからテルドローム会議を始めた

いと思います。モルドレットさん。報告をお願いします。」


「おう。東の方のシャピン村付近にて、転生者ヒスイの存在を確認。もう一人な

ぜかゴブリンの奴がいたが、まあ、支障は出ないであろう。」



 一度起立したモルドレットは再び、椅子に座った。


「そして、その先にアルフアルゴンにもう一度ヒスイが居たってな?ラモラッ

ク」


「おい!!お前!!!!」


「どう言うことですか?ラモラック!」


 パーシヴァルはラモラックのことを睨みつける。それはまるで、脅すかのよう

に。


「まあいい!別に興味があったってだけさ!ヒスイって奴と、転生者、フウシっ

て奴の存在をな!」


「なぜ勝手に!」


「転生者って強いらしいじゃねえか!それを確かめに行っただけだよ!」


「殺したんですか?」


 重低音の低い声で言った。


「さあね!あいつ次第かな」


「なぜ?」


「アーサーの言っていた『新兵器』とやらを使ってみたんだよ。四発ぶち込んで

やったさ!!!」


「ラモラック!!!あなたって人は!!!」


 ラモラックは悪びれる様子もなく、足を机の上に置いて、両腕を開く。


「まあ、すぐに仲間が助けに来たみたいだし、大丈夫じゃあねえのか?」


「計画に支障が出たらどうするんですか!?」


「知らねえよ!俺は強い奴と戦えれば良いんだ。」


「ま、まあまあ…他のみんなの話も聞こうじゃないか…ラモラックも生きて帰れ

て良かったよ。」


 アーサーはその場を中和すると、横にいるパーシヴァルの頭を撫でる。


「パーシヴァルのも、そんなに怒ったままではダメだよ。」


 アーサーはニッコリと笑顔のまま言った。


「は、はい…わかりました。」




「それで、ガラハッド。武器の売上の方はどうかな?」


「へいへい!まあ、良い感じに売れてまっせ!今月の売上額は287億ジューラ!世

界進出となると、桁が段違いに上がりますねぇ!!」


「287億…本当にすごいな…」


「もう世界に進出した武器専門店テルドロームは1国に1つは存在する超有名店で

すからねぇ〜!」


「この調子で行けば、軍資金の獲得も何の問題もなさそうですね。」


 ガラハッドは片方の口角を上げて言った。


「ええ!!!あと1ヶ月後には、中央国家のセンピゼントに侵略する資金も容易い

もんでっせ!!!」


「はぁ〜また仕事をしねぇとなのかよ…」


 ため息まじりにガレスが呟いた


「今回もお願いするよ…ガレス。」


「それじゃあ、次の出撃はいつになるのかしら?」


 ケイはワクワクと腕を鳴らしながら言う。


「まあ、早くても、3ヶ月後かな…新兵器の調整と魔術取り入れもあるし…まあ、

焦らなくても、そのうち陥せるよ。すぐにね。」


「あら、残念だわ…」


「まあ、ガヘリス、そんな落ち込むなって!そのうち行けるんだろ?平和が崩れる瞬間に直面する奴らの顔を早く見てみたいぜ!!」


「べ、別に平和が壊れるわけではないよ…」


「そうなのか?」


「はぁ…それでは、次の監視当番はトリスタンさんですので、転生者達に気付か

れないようにして、上手く侵入してきてくださいね…」


「はいはーい!!わー!楽しみだなぁ!アルフアルゴン…最強の兵士がいるって

聞いたこともあるし!!最強の種族の魔王族も、どんな人たちなのかなぁ!!」


「あくまで、監視ですからね。くれぐれも、殺人などをして、怪しまれないように

注意してください。」

「わかってますよー!そこらへんにいる馬鹿とは違うんですからー!」


 と、言いながらトリスタンはラモラックを見る。


「ああ!?!?なんていった!?」


「いや、なぁんでも。」


「はあ…とりあえず、お願いしますよ…一応、あなたはまともな部類に入るんです

から…」


「はーい!」


「それじゃあ、これにて、テルドローム会議を終わります。」


 そういうと、アーサーとパーシヴァルはすぐに円卓を立って、部屋から出て行

った。


「ふふーん!それじゃあ、今から準備してこよー!!」


 そう言うと、トリスタンも続いて、部屋から出て行った。


「ッヘ!!気持ちい悪りぃ、やつだぜ!!」


「まあ、負け犬のお前よりはマシだろうがな。」


「ああ?もう一回行ってみろよランスロット!!!」


「いや何でも…まあ、あのトリスタンを送るとはなかなかだな。パーシヴァル

も。」


「ふふふ…なんていったて、あの子、野蛮人ですからね…」


 ガヘリスがそう言うと全員が黙る。


「ま、あいつが我慢なんて、できそうもないけどな。」







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