第17話 3人の修行がすごい大変らしい
「はい、ヒスイさん集中!!!」
そう言われると、マースさんに木刀を頭に振り下ろされる。
絶対こっちの方が集中乱れるて。
「フウシ様まだまだ動きが鈍いですよ!!!!」
楓史も同様、俺の後ろでマースさんと(ほぼ死の)鬼ごっこをしていた。
そして、フウシは捕まる代わりに、マースさんの持っていた木刀で訓練場の壁
に打ち付けられた所だ。
怖え…
「集中していないですね!!!!」
あ…
バシン!!!と頭に木刀が打ち付けられた。
「邪念は無用ですよ!!!!」
甲高く、おじさんの声が、訓練場に響いた。
「い、痛えええ…こんなに強くする必要あるか…?」
「ええ。実戦では、痛みが付き物です。フウシ様はこの前にわかっていますよ
ね?」
「いや、そうだけどさ…」
「それでは、続けましょう。骨はそんなに柔楽ありませんし。」
「ストイックだなぁ…」
俺は今、なぜか訓練場のど真ん中で、フウシと、マースさんの追いかけっこを
周りでされながら、座禅をしている。
まあ、これが座禅なのかは知らないけど…
「ヒスイさんはそのままお願いします。」
「は、はい…」
「はい集中!!!」
バシン!!痛い…
なぜ俺が座禅をしているのか…
それは少し前に遡る…
「え!?もしかしたら何人か、敵がフウシ様を襲いに来るかもしれない!?それ
も早いうちに!?」
「ああ。なんか、最近俺とヒスイを狙った集団がいるみたいでね。」
「そ、そうなんですか…」
「だから、マース…この国最強の兵士のお前からを訓練してもらいたいんだ…」
「はあ…私が?まあ、いいですけど…」
「ほ、本当か!?」
「でも、多分だいぶ厳しくなりますよ?いいのですか?」
「ああ!俺は良いぞ!!ヒスイも良いよな?」
「え?ああ…もちろん!」
という風な感じで今に至る…
あの時は思ってもいなかったな…
マースさんが、木刀振り回して、体罰で間違いを指摘する感じの方向だとは…
そして、なぜ俺が座禅をしているのかと言うと、俺は空中に魔術陣を描くと
き、一瞬のうちに、正確に書かなければいけない。
そのため、一瞬の集中力が何度も必要になる。
それに、俺は対人戦なんてできない。そうなると、接近戦で戦うのには、魔術
陣を素早く描かなければいけない。
だかららしい。
ふう…
心を落ち着かせろ…
目を開く。
目の前に映るのは、騒がしい景色と、一定間隔で並べられた麦わらの障害物。
それと正方形のタイルの床。
正方形のタイルをちょっとだけ等間隔で見てみる。
ぼーっとすることに集中したら良いのだろうか…
「雑念!!!」
バアン…
痛い…いや、集中。
ふう…
「お、良い状態に入りましたね…」
「そうなんですk…」
バアン!!!!!
「ええ。目が全てを見ています。あの状態で真正面から振り上げても…」
シュッ!!!!
「うわ!びっくりした…」
と、気づくと、俺はなぜか木刀を頭の横にあった。
「何これ?」
「これ、あなたが避けたんですよ。」
「俺が?何にもなかったような気がするけど…」
「感覚派なんですね。なんとなくで、次の行動に移る。そう言う感じなんです
ね。」
俺は少し意味が分からなかった。
ドユコトだろうか…
「意味わかってないですね?」
「え…あ、はい…」
「なんかわかんねーけど、よかったじゃん!」
「まだまだ、訓練内容はありますよ!それじゃあ、次の訓練です!」
そういえば、ブランチは今どうしてるかな…
死んでないと良いのだけど…
◇
「それじゃあ、ブランチ♡楽しい勇者戦闘法講座はじめよ?♡」
「はい…お願いします…」
レレントレスが目をハート型にしながら言うと、俺は少しやる気のない返事を
する。
「それじゃあ…私が追いかけるから、魔力の流れを感じ取ってね♡」
「わ、わかりました…」
「それじゃあ…よーいスタート!♡」
俺はその言葉を聞くと、足に力を込め、一瞬の内に外へと逃げる。
脱出のチャンスを俺は逃さない!!!!
俺は森の中にある岩場を一瞬の内に抜けると、木の枝の上に着地し、またもや
魔力の流れを足に溜め、100mほど飛ぶ。
後ろを振り返ると、さっきまで居た岩場はすでに遠くの方へと行っている。
「よっしゃ!!!脱出成功!!!!」
と、俺が一息つくのも束の間。
「あ!!!」
「私からは逃げられないわよ♡でも、魔力の操作は上手くなってきたね♡家に帰ったらご褒美してあげる♡」
遠慮しておこう…
俺と、レレントレスは少しの浮遊した後、木の枝の上に落下した。
普通なら俺は背中から落ちたため、背中が木の枝で引っ掛かり、出血でもして
もおかしくないが、なぜかそんなことはなく、全くの無傷だった。
「痛くない?」
「大丈夫です。」
「なら良かった♡これも魔力の応用編の一つだよ♡」
「な、なるほど…」
なんとなく、魔力の感覚は少しずつ掴めてきたんだ。
ここから脱出できる日も少なくとも1年は掛からなそうだ。
「それじゃあ、とりあえず私たちの家で少し休憩しましょ?」
「レレントレスさんの家でしょ…?俺は住み着いたつもりはないんですけど…」
「そんなことは良いの!」
俺にも帰るべき家はあるんだけどなぁ…
ヒスイ忘れてるよな…ここにきた理由が王国センピゼントに帰るためだって…
「どうしたのブランチ?」
「え、いや…なんでもないです。」
「そう!ならよかった♡」
そういうと、レレントレスさんは無理矢理、俺の手を握る。
「え?あ、えっと…」
「大丈夫?」
「え、あ、はい…」
レレントレスさんも何を言おう、美少女なのは確かだ。
まあ、俺も手を握られてしまうと焦ってしまう…
なぜなら女性経験が全くと言って良いほど無いからな!!!
そんなことを考えていると、いつの間にか俺とレレントレスさんは家に帰って
きていた。
◇
秘密の会合
「遅かったじゃないかラモラック。」
机に座ったランスロットが後から来たラモラックを睨む。
鋭い眼光がラモラックに向けられたが、ラモラックは気にすることなく暗い部
屋の中の14個の椅子の一つに座ると、丸い机の上に足を乗せる。
「うるせえなぁ!別に良いだろ!!!」
「ラモラックぅ…遅れて良いことなんて一つもないぞぉ?」
煽り散らかす口調でケイはラモラックに言った。
「そうだ。せめて謝罪くらいは言ってもらわないとなぁ。僕らだって仏じゃない
んだしさ!」
モルドレットが、空中を掻き回す指の仕草をしながら言った。
「はあ?なんだオメェ!!!」
「おお!こわいこわい」
「少し黙ってくれないか?俺のスキルが暴発してしまうぞ?」
「そうだよラモラック。ボーレスの能力が暴発してしまうぞ?ボーレスの能力は鬼
ぶっ飛んでしまうよ!」
「説明ありがとうモルドレット」
「こう言うのは大好きでね。」
しばらく沈黙が続くと、ベネディヴィアが自身の持っていたクリスタルのよう
なものをだし、クリスタルをタバコに変えた。
クリスタルをタバコに変えたベネディヴィアは魔法でタバコに火をつけるとそ
れを吸いながら、足を机の上に乗せた。
「で?アーサー様は何処行ったんだ?パーシヴァルもいないようだけど?」
「心配しなくても大丈夫さ。あの二人はもうちょっとで来るはずだ。」
とガヴェインが言うと、円卓の目の前にあった扉が開き、二人の人物が現れた。
「それじゃあみんな。テルドローム会議を行うとしようじゃないか」
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