第16話 ブランチ修行譚
魔王の国「アルフアスゴン」に来て、今日で3日目。
魔王の国は多種族国家らしく、街を歩くだけでも、獣人や魔神。そして、魔王
族の者たちにも出会う。
魔王の国。何故、「多種族国家アルフアスゴン」が魔王の国と言われているの
か、それには色々な説がある。
まず一つ目。
昔のアルフアスゴンの国の王がとても傲慢で、世界を統治する魔王だったか
ら。
今から1000年ほど前の話では、この周辺にはとても強い種族が住んでいた。
そして、その種族に、ある日双子が産まれた。双子はとても強く、逸話に載っ
ていた劉の神と同じくらいの力を持っていたそうだ。
そして、人智を超えた力を双子の兄は世界征服の為に使い。人智を超えた双子
の弟は世界秩序の為に力を使った。
やがて、2人は時期にぶつかることになり、弟は勇者。兄は魔王と呼ばれた。
魔王は世界に絶望を降らせ続けたが、弟はその絶望から世界を救った。
この逸話にちなんで、この辺に住んでいる種族には魔王族(大いなる力を持っ
た一族)と言われた。
だが、それと同時に、勇者の名誉を持って、勇者の一族とも言われていて、アル
フアスゴンは魔王の国とも言われるが、勇者の国とも言われる。
ちなみに、勇者の国と謳われたアルフアスゴンは世界中の色々なところから技
術者が集まり、魔術学や魔法学。などのあらゆる学問に対して高度な技術を持っ
ている国らしい。
そして、俺、ブランチ・メオリマスは魔王の国、もとい勇者の国に伝わる伝説
の戦闘法。勇者戦闘法を学ぶのが、今後の目標だ。
そして、昨日、マースさんに勇者戦闘法のことについて聞くと、勇者戦闘法を
教えてもらえる人がいると教えてもらえたので、俺は今、言われた場所に来てい
るところだ。
森の木が周りになく、ただ平坦なだけの広場のような場所では、柱のような岩
がいくつも経っている。
近くには川もあり、心を落ち着かせる。
地面はゴツゴツとしていて、修行やらをする場所には適していないだろう。
「誰かいませんかー?」
と、俺が言うと、柱のところからひょっこりと、「はいはーい!」という元気
な声が聞こえた。
そして、ひょっこりと出てきたのは長い髪をぶら下げて、首元にリボンをつけて
いる少女だった。
「え?」
「はい?」
か、可愛い…ただの女の子…だな…
俺はしばらく(0.1秒)の間、考えいつものあれをすることにした。
「そこの可愛いお嬢さん!!!勇者戦闘法を教えてもらえる人ってのはどこにい
るのかな?」
と、俺は少し明るめの声で言った。完全に決まったぜ☆!!!
まあ、いつもなら、ここでそろそろ平手打ちか、蹴りが入る所だな…
受け身取らないと…
「か、カッコいい…」
「え?」
俺は閉じていた瞼を開くと、目の前の女性にはハート形が瞳の中に映ってい
た。
「ど、ドユコト…?」
「そ、その…」と俺が疑問をぶつけると、女性はなぜか両手を握り合ってモジモ
ジし始める。
こういう場合って…大体失敗するのがオチなはずなんだけど…
「そ、その…わ、私…貴方のことが好きになってしまいました…」
「え?ドユコト?」
え?ドユコト?
「だ、だから…私と…そ、その、せ…せ…」
俺はここで悟った。
あ、これヤバイ…
「セ●●スしませんか…?」
「あ、いや…ケッコウデス…」
俺は別に本命まで行こうと思ってナンパしているんじゃない!!!!!
俺はモテないからキャラ付けとしてやっているだけで!!!!
別にいやらしいことを目的としてナンパをしているんじゃない!!!!!!
「ど、どうやら…勇者戦闘法を教えてくれる人はここにはいないようですね…サラ
バ!!!!」
俺は一気に足に力を込め、後ろへと下がる。
空中に浮き、下の方には森の木が俺からして前へ流れる。
「ふう…あれはヤバイな…本当に喰われてしまうところだった…」
「逃がさないよ♡」
と俺が一息ついていると、空中をすごい勢いで、移動しているのにも関わらず、
後ろの方から声がした…というよりも、右耳から生暖かい呼吸と、背中には大き
な二つの弾力を感じている。
「え!?」
「まだまだね♡私から逃げようとするなんて。」
危険人物だ!!!!!
「は、離れろオオオオオオオオ!!!!!!!」
俺は少し恐怖を感じ、後ろに張り付いている女の子を剥がそうとする。
「うわあ!激し♡」
「違う!!!そんなはずじゃない!!!!」
「何が違うの?もう少しでイッチャいそうだよ♡」
「黙れえええええ!!!!ロックスタンプ!!!!」
俺は手を上へ掲げると、俺の上に、大きな岩が現れる。
岩は、俺を上から踏み付けにし、地面へと向かって俺ごと下降した。
俺は大きな岩の下敷きになりながらも、急ピッチで地面にたどり着いた。
「早く!!!逃げなければ!!!!」
「逃がさないよ♡」
と気づけば、俺は女の子が肩に乗っていた。
「うわああああああ!!!!!い、いつから!!!!!!」
と俺は森全体に響くくらいの声で叫ぶ。
「これが勇者戦闘法。自分自身の血液のみならず、体全部を魔力と結合させること
によって、自分も一時的に魔力になることにより、魔法を使わずとも一瞬で瞬間
移動ができる術。これが勇者戦闘法の一つ。」
「え!?ということは貴女は!!!」
「ブランチ。貴方が言っていた勇者戦闘法の使い手…魔神のレレントレスよ♡」
その時俺はまたもや悟った。
俺は勇者戦闘法を教えてもらうためには、この人に執拗に追いかけられなけれ
ばいけないようだ。
「さ!私と楽しい勇者戦闘法のお勉強をしましょ♡」
「う、うわアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!」
◇
「なんか今…聞こえなかった?」
「え?なんか聞こえたか?」
「なんかブランチの声聞こえなかった?」
「え?でもマースから聞いた話だと、ブランチって今、北の修行場に行ってるん
じゃないか?」
「北の修行場?何それ」
「北の修行場ってのは、マースの師匠がいるところで、そこには強欲な魔神のレ
レントレスっていう女の人がいるらしいよ」
「あ、あの…強欲って何?」
「レレントレスは欲しい物のためならどんな手を使っても、必ず手に入れる。ら
しい」
「へー、じゃあ、その人に好きになられたら…?」
「まあ、どんな手でも使って追いかけ回されるんじゃない?」
「あーそれはエグいな。」
俺は城の訓練場でフウシと話していると、城の上の方から何か、大きな叫び声
が聞こえた。
「うわアアアアアアアアアアアア!!!!!!!」
「なんだ!?」
訓練場の入り口を覗こうとすると、すごい勢いで何かが訓練場に入ってきた。
「う、うわあ!!!ぶ、ブランチ!?」
「どうした!?」
「あ!!!!フウシ!!!よかった!!!魔王の権力であいつを黙らせてく
れ!!!!」
「あいつ?」
とフウシが言った瞬間
「ブランチさん♡」
「うわああああああ!!!!!!」
と、気づくと、ブランチはなぜか一人の女性をおんぶしていて、両手で目を隠
されていた。「うわあああああああ!!!!た、助けてくれええええ
え!!!!!」
「もう♡そんなに怖がっちゃって!私と子供作りたくないの?」
と、甘々風なボイスをその女性は言った。
「れ、レレントレス!どうしたんだ?」
「あ、魔王様!実はブランチっていうこの人に私…一目惚れしちゃって♡好きに
してもいいよね?」
「フウシ!!!!!頼む!!!!!!」
と、ブランチは両目を隠されてわからないが、多分涙目だ。
そして、フウシは少し、アーニャのような不敵な笑みを浮かべる。
「ああ。ブランチね、好きにしちゃっていいよ。」
「フウウウウウウシイイイイイィィィィィィィィィ!!!!!!!!!」
ブランチは目は見えないが、瞳には火が宿っていたと思う…多分…
「やったー!!!!それじゃあ、何してもいいのね!!!!!」
「助けろって言ったろオオオオオオオオオ!!!!!!!!」
「いや、俺エーリンじゃねえし」
「貴様アアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!」
「あ、バイバイブランチ。」
「ヒスイイイイイイイイイイイイイイイ!!!!!!」
「それじゃあ、魔法様。二人で楽しんできますね♡」
「ま、待ってください!!!!!!!!!」
「それじゃあ、行ってきまーす!」
「いってら〜」
「死ぬなよ〜」
と、俺たちがブランチとレレントレスにいうと、光に包まれ、どこかへ消えて
しまった。
「お、すげえな。」
「あれが勇者戦闘法らしいよ。それじゃあ、魔術陣の練習の続きしますか。」
「そうだな。」
俺はそういうと、またもやスキル黒板の魔術陣の練習に取り掛かった。
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