円卓の騎士編

第12話 平和の影には。


俺はフウシとのハイタッチを甲高く鳴らせる。



「ふ、フウシ様!!そちらの方は!?」


すると、横から魔神族と思われる兵士が、横槍を入れてきた。


「こいつは俺の親友だよ。名前は…」


「ヒスイ。ただのヒスイだよ。」


俺は兵士に自己紹介をする。


「フウシ様の親友!!こ、この度はようこそいらっしゃいました!!!」


「お、おう…?」


俺はフウシの腕を掴み、王座の後ろへと引き込む。俺はそこで、ヒソヒソとフウ

シに質問をぶつける。


「お、お前、ど、どうなってんの…?」


「ど、どうなってるって?」


「お前…魔王だよな?」


「まあ、一応。」


「ここまでの経緯説明してくれん?」


「ああ。そうか。俺、実はなんか、赤ん坊からのスタートだったんだよ」


「ど、どう言うこと?」


「イメージとしては、無職転生みたいに、赤ん坊からスタートしたんだ。こう、

大人の成人した状態からのスタートとかじゃなくて。」


「なるほどな…でも俺は成人の状態からスタートしたぞ?」


「マジか。じゃあ、俺が特別だったのか?それとも…」


「フウシ様?どうしたのですか?そろそろ見回りの時間なのでは?」


フウシは何かを思い出したかのように手のひらをポコンと叩いた。


「そ、そうだ!!そうだった!!今日は見回りの日だ!!」


フウシは王座の影から出ると、王室の出入り口にかけられていたローグを取り出

した。


「どこいくんだ?」


「俺?これから街に見回りに行くんだよ。ヒスイも来るか?」


「え?いいのか?」


「俺はいいぞ。あと、ブランチ…だったけか?お前も来るか?」


「え?いいのか?」


「おう!!」


俺たちはせかせかと何かを準備するフウシについていき、さっき通った門をまた

もう一度くぐり抜けた。


「賑やかな国だな。」


「ここでは魔術学がとても優れていてな。ありとあらゆる魔術を応用して、その

技術を外国に出したりすることもできる。」


「へー」


そしてしばらく歩いていると、時期に商人の気迫のある声や、子供たちの遊ぶ声が

聞こえてきた。


「いいだろ?この平和な声。」


「ま、確かにな」


「声?」


俺は少し首を傾げたが、不思議なことにブランチは何か、共感をしていたよう

だ。


普通の街なような気がするが…


すると、店前で声をあげて宣伝していた武器屋の店主がフウシに声をかけてき

た。


「お!フウシ様!!いい剣が入ってきましたよ!」


武器屋の店主は一枚のチラシを見せながら、フウシに話しかけた。フウシとはど

うやら知り合いなのか、気楽な笑顔をフウシは見せた。


「か、かっこいいな!!これ一つ貰っても…」


と、チラシを受け取ろうとしたところで「だめですよ。この前新しいの買ったじ

ゃないですか…」と城から着いてきた魔神族のおじさん兵士のマースさんが購入

を止めた。


「ったく…フウシはいつも後先考えずに行動するよな…」


全く…古本屋でアクセルワールド全巻を見た途端全部買うなんて言った時を思い

出させるな…


「俺、ちょっと剣買おうかな…」


「ブランチは剣を持っていないのか?」


「まあ、俺は基本魔法で戦うんだ。そんで俺の得意とする魔法が岩なこともあっ

て、岩で剣を生成できるんだけど、魔法にも限界があるからな…」


「なるほど」


「俺、ちょっと買ってくるわ!先行ってていいよ!」


「おう!」


俺達は店内に入るブランチを見送ると、再び見回りに移った。


「にしても、何にも起きないもんだな。」


俺は少し暇そうに言うとフウシは優しく言う。


「何も起きないのがいいんだろ。」


「ですがフウシ様。警戒を怠ることもできません。油断大敵…」


ドオオオオオオオオオオン!!!!


遠くで爆発音のような音がすると、遠くの方では砂埃が舞っていた。


「あれは!?」


「マース!!行くぞ!!」


「了解です!!フウシ様!!!」




俺たちは音のなった方向へ行くと、深くフードをかぶったパーカー姿の人物がい

た。


「魔王をだせええええええ!!!」


深くフードをかぶった人物は全長10mはあるかと思うような大きな棒を振り回

し、あたりに出店している店を無差別に破壊している。


「な、何をしている!?」


「んん?あれ?お前って確か…」


目元は見えないが、フードを深くかぶった人物は目を凝らしているような仕草を

する。


「俺はフウシ!魔王だ!!」


「へへ!!魔王様がお出ましになったか!!」


「フウシ様。ここは私が…」


と、マースさんは一歩出るが、フウシは左手を伸ばす。


「ここは俺がやる。マースは殺してしまうかもだからな。」


「へへ!!魔王様直々に戦ってくれるとはねえ…なかなか歯応えのありそうだ…

俺の名前はラモラック。アーサー様の命令により、お前を殺害する!!!」


アーサー…多分先日に戦ったモルドレットと大元は同じなのだろうか…


アーサー…フウシを狙うと言うことは、転生者を狙っている…?


なんのために?


何かが動き始める。初めて、そんな気がしたんだ。この時に


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