第3話 冒険者舐めちゃあかんわ
「ふう、これで草むしり完了っと!」
転生してから、なろう系の物語のほぼ、三文くらいしか出演しないような俺の職業についた俺は今、冒険者の友、クラウドと任務の帰りの最中だった。
「「それじゃあ、ありがとうございました〜!」」
俺とクラウドは依頼主のお婆さんに会釈をする。
「いえいえ、こちらこそ、爺さんが死んでから草むしりが大変で…やっぱりギルドに依頼するのが一番だね〜!」
「ありがとうございます!!」
「もし良かったら今度も頼むよぉ〜」
俺は笑顔で「あ、ありがとうございます!!!!」と良った。
俺らは小さな村を出て、太陽の沈む森の中を歩いていく。
「今度、あのお婆さんから依頼が来たら連絡するよ」
「おお!まじか!!ありがとな!!」
「おう」
俺は沈む夕日を見ていった。
「とりあえず、金は良いからこの世界に関することを教えてくれないか?」
「まあ、そうだな!初心者には厳しいからな!」
「良いってそういうの。それよりも、早く魔法について教えてくれ。」
俺が急かすようにクラウドいうと、忘れていた!なんて顔をした後に、説明を始めた。
「この世界はな。前に教えた2つの方法以外に魔法を出す方法がある」
「なんだそれ?」
「
「
「魔力を無限に生み出す石のことだ。この世界の地中深くに埋まっているんだ。この世界の地面の下は全てが
「ということは無限に手に入るってことか?」
「そう言うことだ。今は各国に一つくらいは
魔王、それはこの世の王。伝説には何かを操る能力を持っていて、この世の全ての生物を操って、各国が弱体化するのを待っているとか。
「うーん。意外と良いかもな。それ」
実際、ゲームみたいに俺も主人公になって魔王に挑んでみたかった。
ぶっちゃけ、今のギルド管理人の仕事は冒険への前もった貯金だ。
金が貯まったら、いつしかは冒険に出ようと思っていたし、俺はなんと言ってもエルフだ。エルフは寿命が長く、特殊な血液を持っていて、魔力量も多い。
まあ、飯がないとそんなことできないのだが。
でも、こいつについていけば、なんとかなりそうな気がする。
「それじゃあ…」
俺がその言葉を言いかけた時だった。
突然、目の前にいたクラウドがど太い腕に吹っ飛ばされた。
「ガアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!」
クラウドのいた方向には今や、白い毛の化け物の姿があった。
白い化け物はホワイトベア。
つまり、白い熊の魔物だ。背中を向けている
身長は4メートルくらいだろうか。人が通るために整備された道の横に生える木々よりも高いのは確かだった。
どうする!?
今の俺は魔術は愚か、魔法すら使えない。
エルフで魔力が多いらしいが、まだこの体に馴染めてもいないから魔力を応用して身体能力を上げることもできない!!!
スキルもクソ雑魚の文字を書く程度の能力!!
つまり今俺は、ほぼ地球人!!!!
この状況は地球人vs異世界のヒグマ!!!
普通の地球人ですら武器なしでヒグマに勝てるわけがない!!!!
つまり待っているのは…
「し、死ぬ…!!!!!」
俺は腰を抜かして、尻を地面につけた。
4メートルのホワイトベアは手を振り上げる。
そんな時、走馬灯が流れる。
思い出した内容はごく最近のこと。
昼下がりのギルド管理局。
ポカポカとした日光がテラスカウンターではクラウドが俺に魔術の説明をしてくれていた時のことだった。
「まあ、このようにして、魔法を使わなくても、魔術を使えるんだ」
「へー。じゃあ、これって鉛筆の魔力量が多かったらまともな魔法が撃てるってことか?」
「まあ、そういうことだな。物質によっては魔力量も全く違うから、結合する魔力の多い物質で書いたらそうなるよな」
「なるほど」
「ちなみに魔力量の多さによって放たれる魔法の強さは比例するぞ!!!」
「ふえー」
そこで走馬灯は途切れた。
どういうことだ……………
その時、俺の頭の中に閃光のようにして、あることが響き渡った。
はっ!!そういうことか!!!
まさか、そんな応用技があったとは思ってもみなかった。
俺の能力はクソ雑魚じゃない!!!!!
目を開くと、まだホワイトベアは手を掲げた状態。
やはり走馬灯の間は時間がゆっくり流れるようだ。
それじゃあ!!!!!
俺はあることを思い出す。
それは、火の魔術陣。
「スキル!黒板!!!!!!」
俺のスキル「黒板」は自分の魔力を使って文字を書く。
つまり、これは賭けになるが…
俺はスキル「黒板」で火の魔術陣を空に描く。
そして、詠唱…
「れ、
俺の真後ろに描かれた魔術陣は、瞬く間に正常に起動した証。
魔術陣から、赤い火の球をホワイトベアに向かって、一球だけ放った。
背中越しでもわかる赤い光を目にした後、俺の上を赤い光が一瞬のうちに通る。
炎の弾はホワイトベアの腹部に直撃した。
ゴオっと爆発音を発しながら破裂する。
だが、ホワイトベアは後退りこそはしたが、腹に穴が開くなんてことはなく、ほぼ、健全の状態でそいつは立っていた。
「ガアアアアアア!!!!!!!!!!」
しかもご立腹のようで。
今度こそ、手を振り上げる
そしてホワイトベアのど太い手は真っ直ぐこちらに向かって手を下ろす。
風を切りような音がする。
「死…!」
俺はあまりのことに目を瞑る。
だが、いつまで経ってもその手が振り下ろされることは無かった。
「あぶねー!ヒスイは大丈夫だったか?」
目を開けるとそこに居たのは、傷一つない片手剣を持ったクラウドの姿と片手がなくなって、血液が垂れ始めているホワイトベアの姿だった。
「お、く、クラウド…!だ、大丈夫なのか…!?」
クラウドは鼻息を鳴らすと「あんなもんで怪我するほど、俺は甘い冒険者じゃねえよ」と言った。
クラウドは前を向き、ホワイトベアを見る。
「もし、逃げるなら生かしてやるが…」
「グワアアアアアア!!!!!!!」
ホワイトベアは雄叫びをあげて飛びかかる。
「仕方ねえな。」
クラウドは目の輝きを変えると、持っていた片手剣に雷を纏わせる。
「
黄金に染まる雷が鳴り響き、あたりを明るく照らす。
ホワイトベア電撃により黒く染まり、そして灰となって消えた。
「お、俺の攻撃が全く効かなかった奴を…」
圧巻だ。
俺の攻撃を毛ほども感じない奴を一瞬で灰にしてしまうのだから…
「どうだ?冒険者…なってみないか?」
夕日が輝き、目が眩む中。
俺には夕日なんかよりも、冒険者クラウドの方が俺には輝いて見えていた。
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