第2話 とりあえず就職

「クソザコじゃねええええかあああ…………!!!!!!!!!!!」

 と空中に向かって心の咆哮を放ってから、約1ヶ月。


 俺は、「超が付くほどクソ雑魚な能力ではすぐにまた死ぬ」と悟ったので、とりあえず、復活地点から一番近い国へと向かった。


 どうやら、この国…というよりも、この世界は日本語で通用するらしい。


 まあ、実際には俺の言った言葉が相手側がなんとなく理解し、こっち側も、聞いた言葉をなんとなく理解しているだけなのだが…


 多分、この世界は言語を使うのではなく、以心伝心などをしているのだろう。

 知らんけど。


 とりあえず俺は何もできないクソザコということなので、ギルドの管理人という役職に就くことにした。


 言うなれば、異世界転生系のラノベでギルドの札を手渡しする人のことだ。


 そんなこともあり、だいぶ冒険者の友人も増えた。


 そんな冒険者の友人から聞いたこの世界に関するいろいろな情報をおさらいでもしておこうかな。


 今は昼は誰も来ないし、おさらいするにはもってこいだ。


 とりあえずこの世界には「魔法」というものがあるんだとか。


 まあ、「魔法」はなんであれ、存在自体があることは俺が神様(自然の結晶体)から聞いていることなんだけど…


 その魔法というものがどういうものか…


 まあ、これもベタなのだが、「魔力」というものを消費して魔法を作るらしい。


 魔法はありとあらゆる生物以外の物に宿っている。


 生物には魔法というものは元来サラサラ無く、この世界の食糧を体内に取り込むことによって魔力を始めて取り込めるらしい。


 魔力は血液の中に蓄積され、動く体の原動力の一部に成り立つらしい。


 そのため、この世界の人型の生物は地球にいた生物とは比べ物にならないほど身体能力が向上している。


 だが、食糧を食べないと、身体能力は低下するようだ。これはまあ、人間も同じなわけだが。


 そして魔法はある一定の言葉を言う、つまり「詠唱」をすることによって体の中の魔力から魔法の分の魔力を差し引いて魔法を使うことができるらしい。


 人間で言うところの「走る」という動作をした時のように体力を必要とする感じらしい。


 基本的に魔法は誰でも使える。


 それこそ、俺が魔法の詠唱を唱えれば、火花くらいは出せる。


 まあ、試したこともあったのだが、もちろん「火花」しか出せない。


 ポケモンのような火の玉とかではなく、手持ち花火とかのレベルでは無く、本当に火花だ。


 この魔法はほとんどが才能であったり、種族間の違いによって魔法を使える、使えないの差が大きいため、俺はどうやら使える側の人間ではないらしい。


 エルフなのに…


 ステータス表には「幸運⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎」なのに…


 始めて魔法を使った時はこの世界のパワーバランスが崩壊しないのがよくわかった。


 まあ、この世界も魔法をそんなにバンバン使われたら溜まったもんじゃないからな。


 ちなみに、国によれば、攻撃性魔法の使用は禁止されているらしい。


 まあ、この世界における「日本」のような存在だろう。


 次に魔法を発動する方法がある。


 それは「魔術」の使用だ。


 魔術とは、いわゆる円形の魔法陣を書いて、短い詠唱をすることによって発動

する魔法のことだ。


 まあ、今は伝わりやすく言ったが、本当の名称は魔術陣。魔法陣はあくまで、防衛の為の物、つまりバリアの名称だ。


 俺は知った時これだ!!と思っていた。


 これなら、紙とかに魔術陣を書いてカードゲームのように取り出せば冒険者ができる!!何て思っていた。


 そう。


 これにもパワーバランスが崩壊しないための秘密が隠されていたのだ!!!


 最初に魔法を使うには魔力が必要と言ったはずだ。


 そして魔力は生物以外の物に宿るとも。


 この世界では鉄が酸化して酸化鉄になるように、ただの鉛筆も、魔力と結合して、魔力鉛筆になることが普通なのだが、鉛筆やその他の色々な物質や物はごく

少量の魔力としか、結合しない。


 例えば鉛筆と紙で魔術陣を描くとしよう。


 ちゃんとした魔術陣を描くと、もちろん詠唱をすることによって、火属性の魔法が出たりする。


 だが、紙と結合した魔力を1と仮定して、鉛筆の線に結合した魔力を1とする。


 そして、魔術陣が描かれている、紙と鉛筆の線を全て足した時、魔術陣の魔力総量は2魔力とする。


 鉛筆で紙に書いた魔術陣の総量は魔力2。


 この魔力総量を基準として、火の玉を出す魔力総量を数字にすると、大体


 1000000魔力が必要となる。


 つまり、紙と鉛筆で魔術陣を描こうとすると、俺が使った紙(5×5センチの長方形の紙)が50万倍の大きさの紙に同じくらいの鉛筆のサイズ、同じくらいの魔術陣を描き出すことによってようやく、火の玉が撃てるようになる。


 溜まったもんじゃない。


 そんな、馬鹿でかい&量産性の低いもんを使ってモンスターを殺すなんて無理な話だ。


 だが、木材のような植物は一味違って、紙の2分の1ほどの負担でいいらしい。


 まあ、そっちの方が言うまでも無く大変だけどね!!!


 それに、生物が魔力を持てる仕組みだって、血液があるか、無いかで決まる。


 つまり、血がなければ、火花すら放てない話ということだ。


 種族によっては血もない種族が存在するので、魔法は生まれた時から才能で決められているんだとか。


 そして、俺は転生当時から全く、冒険に関しては頼り甲斐0の「スキル」についても説明しておこう。


 スキルは要するに魔力の応用的なもの。


 遺伝子によって魔力を体の中で使う方法が違うというほぼ、魔法と同じ力だ。


 基本的にスキルは、属性スキル、付与スキルの二つがある。


 前者は物質を編み出すスキル。後者は何かに力を与えるスキル。



 どちらも、パワーバランスが崩れないほど。


 前者の場合はもし、属性が火とかであれば、ライター程度の火を放出。


 後者なら、自分の視力を少し良くする。


 この程度が普通だろう。


 ちなみに、俺のスキル「黒板」は空中に魔力で作った文字を書くと言う程度。


 まあ、俺が最高の芸術者なら、意外とこの世界で一儲けは出来ただろうな。


 そして、スキルも種族によって違いが現れたりするらしい。


 そういえば、この世界では人間という種族が存在していなかったな。


 この世界の基本的な種族といえば、まあこんな感じであろう。

 説明も兼ねて


 人魚族

 基本的に水辺に存在して、下半身魚。要するにアリエルだ。


 獣人族

 猫耳が生え、尻尾があり、雌の獣人族は頬からドラえもんのような髭が生えている。俺の性癖だ。


 魔神族

 肌の色が多種多様で、いかにも魔神みたいな種族だ。ディズニーで言えばジーニーだろうな。


 死霊族

 肌にヒビが入った人間のような生物。特殊な能力を持っているらしいが、血液がないからスキルや魔法を使えないが、他の能力を使っていたりするらしい。


 液体族

 スライムだ。人型だったりする。身体能力が非常に高く、血を持たないが意外と戦闘向きの種族らしい。


 妖精族

 魔神族のようだが、一回り小さい。


 魔王族

 人間で言う王族のようなものだ


 天使族

 ただ、羽が生えた人たちだ。


 エルフ

 ただ寿命が長いだけ。なんか露出が多いとか、魔力が多いとか、そう言うのは一切ない。まあ、露出が多いに関しては個人の感性の違いでは違うだろうな


 

俺が知っているのはこれだけだ。



 まだまだ種族は多くいるし、もっと細かく言えば、さまざまな呼び方がある。


 そして、冒険者たちが狩ってくるのが、いわゆるモンスター。


 知能のない集団だ。


 種族かモンスターかは知能があるか、ないかの話らしい。


 そんなことを考えながら、俺はまるで西洋劇場のBARのような誰もいない、昼の日差しが差し込んだギルド管理局のカウンターの上で、大きな窓から差し込む光に当たり、ウトウトしていた時だった。


「ヤッホー!ヒスイ!今日もなんか依頼が来てないかチェックしに来たぜー!!」


 ギルド管理局のドアを勢いよく開けたのは、冒険者の友達、クラウドだった。


「よー、クラウド。今日はドラゴン討伐しかないぞー?」


「ッチ!何もないってことかよ…」


「ドラゴンは流石に無理か?」


「あいつはもうバケモンだ…俺も先輩と一緒に行ってみたが、あれはもう、俺と

は別次元だ!まあ、それを一瞬で消しとばした先輩はもっと別次元だったけどな」


「ふーん。あ、そうだ。お手伝いの依頼は入っていたぞ。」


 お手伝いとは困った人の手助けをする役目だ。ちなみにこの依頼は草むしりを手伝って欲しいと言うことらしい。


「おお!まじか!それやるか!!お前も一緒に行かないか?いいの見せてやるよ!」


「いいのってなんだよ」


「魔法に関することだ!!!」


 実際興味はあるが、行けるかどうか…


「うーん…じゃあ、明日にしないか?明日は俺の当番の日じゃないから」


「ふん!オッケー決まりだ!!!」



 こうして俺は、草むしりの依頼を受けることになった。


 そして、この時俺は知らなかった。


 まさかあんなことに巻き込まれるなんて








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