秘密
星之瞳
第1話
『二人だけの秘密だよ。誰にも言ったらいけないよ。指切りげんまん、嘘ついたら針千本飲ます!』私は彼と指切りをした。『3年待っててそしたら帰ってくる。それまで秘密を守り切ったらいいことあるよ』
そう言って彼は遠くの街に行ってしまった。
私は中学三年生、もうすぐ高校に進学するころだった。
『連れて行って』と懇願する私に、『あまりにも幼いから連れていけない』と彼はそう言った。
3年。それは私が高校生として過ごす時間。そして秘密を守る時間でもあった。
卒業式も終わった3年生の春休み、私は毎日約束をした河川敷に出かけた。
あと何日で約束の日が来ると数えながら。
そして約束の日。私は朝早くから河川敷にやってきていた。
「秘密は守ったよ」そう呟いた。
道に車が止まった。人が下りてくる。それが彼と気づくのに時間はかからなかった。
私は思わず彼に駆け寄った。彼は私を抱きしめて、
「よく待っていてくれたね。秘密も守ってくれた。君の事大好きだよ」
「私も、大好き。一日たりともあなたの事を忘れたことはなかったわ」
「秘密を守ってくれたご褒美、僕と結婚してください」
「喜んで!」
彼は私をきつく抱きしめ、軽くキスした。
「さ、両親に紹介しなくては、行こう」そういう彼に手を引かれ私は河川敷を上った。道路に止めてあった彼の車に乗り込み河川敷を後にした。
秘密 星之瞳 @tan1kuchan
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