第3話
「フッ……」
もう、未練はないぜ。
おばさんが、リンゴを包装している合間に、商店街の東側から数十名の騎馬隊がやってきた。騎馬隊は、その機動力から魔王戦争で大活躍していた王国の大事な部隊の一つだ。
妙だな。あっちの方には、王城しかないはずだ……?
魔王戦争。
一週間前には勃発していた魔王軍と人類軍との1000年も続いていた大戦争だ。
勇者の俺がいるから、あっけなく魔王戦争では人類側が勝ったのはいい。
けど、その後は俺は職を失い。
今じゃ、一文無しだ。
「ま……また、魔王が蘇っていたりして……」
俺の不吉な予想通りに騎馬隊が、俺の方へ近づいてきた。騎馬隊の先頭には、顔見知りがいた。
「勇者ランダル。国王様がお呼びだ。すぐに王城へ行け……うん?」
「悪い……魔王なら今は間に合ってる……戦争はちっとも金にならないんだよ」
「……何を言っているんだ……そうはいかんぞ。いや、だが。今度は魔王討伐ではなく。魔王城自体に用があるんだ。国王様から魔王城の最奥を配信せよとの命を受けている」
「ふ? へ? 配信?」
「……ふー、そのようだな……」
俺と共に魔王戦争で戦った仲間の一人だった。
それも、大戦争でも生き延びた。
数少ない生き残りの一人。
女騎士団長のスザンヌが呆れて言った。
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