第2話 独り言は 果てしなく つづく・・みたいな

 まだまだ、語り終わりません。もともとの天職みたいな仕事をそのまま自分にあてはめているようです。しかし、いつ頃から彼が語り部として活動していたのか、近所の人たちはあんまり覚えていないようで、彼がこの界隈で生活していたのも、ごくわずかな人たちだけしか知らなっかったのが本当のようです。


「俺は終戦後の高度成長期に生まれたが、時代が自分に合っていないとず~っと感じていた。魂は江戸時代から明治へと移り変わる時期のあの怒涛の中で、竜馬や西郷、勝海舟あたりと酒を酌み交わしたかったんだ。日本を改革したかった・・・」

などと言ったと思えば、数分後には時空を飛び越えて


「平安の時代だったか、友人で陰陽師の安倍晴明と芦屋道満たちもおったけど、みんな鬼とか妖し、物の怪といつも戦っていて元気やったばい。善治くん、覚えとるね?

とにかく、晴明はあんころのヒーローで式神を上手に使いよらしたもんね。俺も相撲取りの式神は作ったバッテン、とんとんとんの子供のお遊びレベルやったとさ・・」


「何年前やったかは覚えとらんけど、イギリスのロンドンにも招待されたとばい。ワトソンさんからやったとけど、外国の都会が年がら年中あげん薄暗くてじめじめしとって、健康に悪か所て知らんやった。知っとったら絶対行かんやったばい。ホームズとか言うこれも陰気な探偵さんを紹介されたとけど、パイプ煙草の吸いすぎと天眼鏡の見過ぎで、顔がいつも痙攣しとらした。事件をそこそこは解決しとらしたけん、日本の明智君か金田一君あたりやろうな。俺には叶わんよ(笑)・・」

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