SS3 雨

 今日は、教員会議のため、部活はお休み。


 文芸部の顧問である雨宮は、はあ、と大きなため息を吐いて、会議室を出た。

 外は大雨。それが余計に、彼の心を暗くさせる。


 今日も、文芸部についてたくさん言われてしまった。そろそろ廃部したらどうですか……その言葉を何回言われたことだろうか。

 なんとかのらりくらりとかわしたものの、そろそろ限界である。


「雨宮せんせ」


 そう、軽い調子で声をかけて来たのは、国語科の風原だ。20代の彼は、教師たちの中ではまだ歳の近い雨宮によく声をかけて来た。


「今日も大変でしたね。」


「……はい。」


 雨宮は、暗い声でそう返す。


「なんで、そんなに頑張れるんですか?」


「……私自身、文芸部のOBなので。」


 そうなんすか⁉︎と風原は大袈裟に驚く。


「確かにそれは、守ってあげたくなりますねぇ。」


「はい。」


 そうだ、なんとしても文芸部を守っていかなかきゃならない。彼は心の中で、自分にそう発破をかける。



 だってまだ、あいつとの約束が果たせていないのだから、と。

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