SS2 テスト

 テスト期間なので、今週は部活はお休み。


 夏目はひとり、数学の問題集を解いていた。


「あぁーもう」


 微分すべき問題を積分していて、大問一つ丸々落とし、なくなく解き直しをしていると、


ピコン


とスマホが鳴った。

 数少ない親友、森からだった。


『質問があるんだけど』


 その文面を見て、夏目は「なに?」と返信する。基本テスト期間中はLINEを見ないようにしているのだが、質問ならば仕方ない。


『なんで推しってこんなに尊いんだろうね』


「知るか」


 夏目はトーク画面を閉じようとする。すると、続けざまに一枚の写真が送られてきた。


 ドームの前でペンライトを持って自撮りをしている彼女の写真だった。


 「……」


 夏目は静かにスマホの電源を切った。


 別にどういうふうに時間を使おうと自由である。

 ただ、この状態で自分より良い成績を取るのが、夏目には許せないだけだ。


 今回こそは勝つ。夏目はそう決意して、今日も机に向かう。

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